これまでのあらすじ

『病迷悪夢』
1章.病迷悪夢読者3989 評価34 分岐1
2章.病名不明の病読者1143 評価7 分岐1
3章.夢ギルドでの再会読者757 評価3 分岐1
4章.先輩読者632 評価2 分岐1
5章.影裏読者487 評価0 分岐1
6章.復讐読者508 評価0 分岐2
7章.出会い読者541 評価0 分岐1
8章.植物読者495 評価1 分岐1
9章.初依頼読者402 評価0 分岐1
10章.指名手配の悪夢を探して読者476 評価2 分岐1
11章.交戦開始読者414 評価0 分岐1
12章.交戦後__読者385 評価0 分岐1
13章.初依頼達成読者432 評価0 分岐1
14章.復讐に燃えて読者359 評価0 分岐2
15章.夢の病の裏。読者372 評価2 分岐1
16章.特訓開始読者455 評価0 分岐1
17章.二日目の海にて..読者410 評価0 分岐1
18章.棘葉と拳読者359 評価0 分岐1
19章.来訪、そして女子組入浴読者376 評価7 分岐1
20章.少女入浴中読者356 評価0 分岐1
21章.特訓最終日読者305 評価0 分岐1
22章.影裏のプライド読者350 評価0 分岐1
23章.暗き夜の妖精は夢を見るのか読者325 評価0 分岐1
24章.小さき姫は何を思う読者337 評価0 分岐1
25章.遂に開幕読者318 評価0 分岐1
26章.一回戦開始読者362 評価0 分岐1
27章.速けりゃいいってもんじゃない読者367 評価3 分岐2
28章.二回戦読者314 評価0 分岐1
29章.Bブロック一回戦読者345 評価3 分岐1
30章.有利的な展開読者302 評価0 分岐1
31章.属性?能力?そんなものは読者357 評価2 分岐1
32章.形勢逆転読者268 評価0 分岐1
33章.Bブロック一回戦、終了後読者342 評価2 分岐1
34章.四回戦読者367 評価0 分岐1
35章.反撃開始読者332 評価0 分岐1
36章.夢と現、誠と現読者292 評価0 分岐1
37章.次の試合。どうなる事やら読者300 評価0 分岐1
38章.魂削り取る者読者284 評価0 分岐1
39章.Bブロック二回戦読者372 評価4 分岐1
40章.Gブロック読者302 評価0 分岐1
41章.波乱の幕開け?読者316 評価0 分岐1
42章.Aブロック二回戦決着読者273 評価0 分岐1
43章.光操る者、魂削る者読者278 評価0 分岐1
44章.Bブロック決着読者284 評価0 分岐1
45章.残酷さがある者程____読者324 評価0 分岐1
46章.宿命読者330 評価0 分岐1
47章.棘葉の怒り読者514 評価0 分岐1
48章.メアのアドバイス読者306 評価0 分岐1
49章.Eブロック二回戦白熱読者329 評価1 分岐1
50章.Gブロック読者473 評価0 分岐1
51章.三回戦読者256 評価0 分岐1
52章.メアと阿須魔読者272 評価0 分岐1
53章.これが俺の能力読者379 評価0 分岐1
54章.Eブロック決着読者332 評価0 分岐1
55章.人間か、妖怪か?読者286 評価2 分岐1
56章.準々決勝読者333 評価0 分岐1
57章.魂対炎読者242 評価0 分岐1
58章.襲い狂う魂読者296 評価0 分岐1
59章.オメガオーラ読者384 評価0 分岐1
60章.月崎神の謎読者275 評価0 分岐1
61章.少女が視た未来読者342 評価2 分岐1
62章.現の想い、メアの悪感読者339 評価0 分岐1
63章.烈華と黒い音読者334 評価0 分岐1
64章.古の音色読者389 評価0 分岐1
65章.光と植物読者286 評価0 分岐1
66章.襲い来るメデューサと奇跡のサルビア読者479 評価1 分岐1
67章.溶岩と闇読者458 評価0 分岐1
68章.黒きオメガオーラ読者581 評価0 分岐1
69章.圧倒的読者324 評価0 分岐1
70章.最悪の未来が読者306 評価0 分岐1
71章.準決勝前夜読者278 評価0 分岐1
72章.準決勝開始 音塊に取りつかれた少女読者504 評価1 分岐1
73章.災いの暴食読者312 評価0 分岐1
74章.絶体絶命の危機読者266 評価0 分岐1
75章.災厄……読者453 評価1 分岐1
76章.音塊読者427 評価0 分岐1
77章.闘技場半壊読者322 評価1 分岐1
78章.開幕....読者367 評価2 分岐1
79章.限界の覚醒読者293 評価0 分岐1
80章.反劇読者425 評価0 分岐1
81章.静め始める音塊読者323 評価0 分岐1
82章.悪意の予感読者580 評価0 分岐1
83章.偽の実力、真の実力は?読者549 評価0 分岐1
84章.思い出し読者632 評価0 分岐1
85章.準決勝、二回戦読者423 評価0 分岐1
86章.闇の力読者290 評価0 分岐1
87章.オメガオーラvsオメガオーラ読者519 評価0 分岐1
88章.決勝へ読者299 評価0 分岐1
89章.決勝戦__敵の襲来読者282 評価0 分岐1
90章.試合開始読者302 評価0 分岐1
91章.影裏の過去読者559 評価0 分岐1
92章.決着読者317 評価0 分岐1
93章.決戦、開始読者532 評価0 分岐1
94章.激突読者346 評価0 分岐1
95章.炎vs雷土の猛者読者249 評価0 分岐1
96章.恐ろしき予知読者273 評価2 分岐1
97章.合流読者329 評価0 分岐1
98章.状況は更に上昇して読者248 評価0 分岐1
99章.闇の英雄(ヒーロー)読者455 評価0 分岐1
100章.花が咲く読者313 評価1 分岐1
101章.決着、聞きたい事、更なる襲来読者665 評価0 分岐1
102章.バクの目的読者317 評価2 分岐1
103章.任命読者450 評価1 分岐1
104章.十二騎士の選出読者606 評価2 分岐1
105章.迫り来る悪読者458 評価1 分岐1
106章.調査、遭遇読者374 評価0 分岐1
107章.ジルヘ到着読者526 評価0 分岐1
108章.ジルヘ____無酸素の草原読者524 評価0 分岐1
109章.洞窟の先へ読者641 評価0 分岐1
110章.採掘開始読者555 評価0 分岐1
111章.猛毒のオージュ読者417 評価0 分岐1
112章.デッドリーポイズン・ユニオン読者450 評価0 分岐1
113章.ゴーストの力読者507 評価0 分岐1
114章.ギルド帰還読者452 評価0 分岐1
115章.夢星祭読者322 評価1 分岐1
116章.祭りの始まり読者805 評価0 分岐1
117章.ついに始まる神輿バトル読者305 評価0 分岐1
118章.夢星祭恒例行事読者391 評価2 分岐1
119章.極寒では済まされない場所への行き方読者336 評価1 分岐1
120章.悠と烈華読者289 評価0 分岐1
121章.雪の下読者288 評価0 分岐1
122章.雪の民読者284 評価0 分岐1
123章.捜索読者273 評価0 分岐1
124章.雪の民と少女二人読者541 評価0 分岐1
125章.Battle of the snowy field………start!!読者288 評価0 分岐1
126章.悪夢的な妻たち読者353 評価1 分岐1
127章.襲撃読者343 評価0 分岐1
128章.雪山頂上決戦読者269 評価0 分岐1
129章.島へバカンス読者578 評価1 分岐1
130章.出会いは水上スキーに乗って読者615 評価0 分岐1
131章.海へ読者435 評価0 分岐1
132章.独占関白読者260 評価0 分岐1
133章.決戦の時読者616 評価2 分岐1
134章.第二妻、モノン読者438 評価0 分岐1
135章.vs名無し読者276 評価0 分岐1
136章.独占を止めろ読者478 評価0 分岐1
137章.嫉妬読者552 評価0 分岐1
138章.空の国とは一体?読者286 評価0 分岐1
139章.空の国の試練読者533 評価0 分岐1
140章.天罰もとい試練、の序章読者651 評価0 分岐1
141章.九天山のトラップ読者315 評価0 分岐1
142章.雷降は神の天罰なり読者283 評価0 分岐1
143章.老師読者408 評価0 分岐1
144章.ソニッカ襲来読者382 評価0 分岐1
145章.巨漢の悪夢読者296 評価1 分岐1
146章.GRAVITY 読者341 評価0 分岐1
147章.バクとの連絡読者298 評価0 分岐1
148章.雷鳴神読者295 評価0 分岐1
149章.重力に逆らえる者は神のみか?読者317 評価0 分岐1
150章.神(ゴッド)の力読者439 評価0 分岐1
151章.4つ目の石、少しの休息読者580 評価1 分岐1
152章.宿泊、そして入浴読者709 評価1 分岐1
153章.入浴と恋話読者442 評価1 分岐1
154章.いじめとメアの夢読者435 評価1 分岐1
155章.病迷の科学読者834 評価0 分岐1
156章.ネックレスの秘密読者430 評価0 分岐1
157章.黄金の野望読者403 評価1 分岐1
158章.カジノは本当に楽園なのか?読者580 評価2 分岐1
159章.死のカーニバル読者264 評価0 分岐1
160章.カジノシティ読者346 評価0 分岐1
161章.ギャンブルの沼へ読者466 評価0 分岐1
162章.恐ろしい罠読者456 評価0 分岐1
163章.ロシアンバトル開始読者476 評価0 分岐1
164章.帝斗vsケルベロス読者385 評価0 分岐1
165章.三首を討ち給え読者375 評価2 分岐1
166章.ロシアンバトル第2戦読者378 評価0 分岐1
167章.もしかしてデレたの?読者520 評価1 分岐1
168章.深緑と深い霧読者364 評価0 分岐1
169章.深緑の襲来読者760 評価1 分岐1
170章.ユメノチカラ読者423 評価0 分岐1
171章.死闘開戦読者364 評価0 分岐1
172章.闇は始終存在する読者367 評価2 分岐1
173章.ルビーvs烈華読者466 評価1 分岐1
174章.天照の加護の許読者855 評価0 分岐1
175章.どうせイカサマだし読者311 評価2 分岐1
176章.ガスの力vsモノン&小姫読者487 評価1 分岐1
177章.小姫覚醒…!?読者273 評価1 分岐1
178章.姫を目覚めさせるのは王子様だけ読者352 評価1 分岐1
179章.拳vsシルバー!!読者270 評価0 分岐1
180章.悪夢の混血読者742 評価3 分岐1
181章.ゲームは最終戦へ読者268 評価0 分岐1
182章.足りてないもの読者281 評価2 分岐1
183章.秘められた其の姿読者261 評価0 分岐1
184章.襲撃読者528 評価0 分岐1
185章.内側って意外と脆い読者262 評価1 分岐1
186章.時裂の塔読者412 評価0 分岐1
187章.過去読者234 評価1 分岐1
188章.人間狩りの始まり読者367 評価0 分岐1
189章.時裂の塔は疲労が溜まる読者366 評価0 分岐1
190章.三世石を触れて読者252 評価0 分岐1
191章.過去の世でも戦闘有り読者279 評価2 分岐1
192章. ウェアウルフ 読者465 評価0 分岐1
193章.接してはならない過去の世界読者227 評価2 分岐1
194章.日食は満月と太陽読者411 評価0 分岐1
195章.陰陽黄泉読者489 評価0 分岐1
196章.恐ろしい混血読者467 評価0 分岐1
197章.闘いの天才読者560 評価3 分岐1
198章.悪夢も愛には勝てません読者282 評価2 分岐1
199章.衂虫寄生襲来読者342 評価8 分岐1
200章.人の夢は悪夢に染まるのか?読者308 評価0 分岐1
201章.治まる混血読者580 評価0 分岐1
202章.衂虫の恐怖、人狼の弱点、夜空を駆け巡る読者371 評価0 分岐1
203章.最終決戦!!決めろ混血ゴッド読者524 評価0 分岐1
204章.サァ、決着だ読者370 評価0 分岐1
205章.拳、犬を拾う 新たな組織レジスタンス読者266 評価0 分岐1
206章.夢の反逆者達読者397 評価2 分岐1
207章.いざ、ヴェレスへ読者287 評価0 分岐1
208章.清的咒文倾注到日本読者538 評価2 分岐1
209章.罠 読者400 評価0 分岐1
210章.オオダチ・テイリ参戦読者532 評価0 分岐1
211章.記憶の果てに悩まされ読者223 評価0 分岐1
212章.闘志と本気を燃やせ 読者348 評価0 分岐1
213章.怨念でも、夢でも、何時でも何処でも大乱闘読者253 評価2 分岐1
214章.ユフインとイリニ読者258 評価0 分岐1
215章.メアの休日読者264 評価0 分岐1
216章.愛星祭読者175 評価0 分岐1
217章.少しの休暇、貴方は一体何をし、何を思う?読者236 評価0 分岐1
218章.塵を積ませて山となれ読者289 評価0 分岐1
219章.アレンスの古代闘技場へ組手を読者458 評価0 分岐1
220章.違うギルドの様子読者224 評価0 分岐1
221章.開幕読者428 評価0 分岐1
222章.邪の気配読者257 評価0 分岐1
223章.αvsω読者271 評価0 分岐1
224章.風のお便り読者288 評価5 分岐1
225章.遠隔と短距離読者412 評価6 分岐1
226章.圧倒読者236 評価0 分岐1
227章.棘葉vsブルスト読者296 評価1 分岐1
228章.君自身の甘さ読者216 評価0 分岐1
229章.一人の少女の観戦 境の破壊者読者241 評価0 分岐1
230章.破壊者と化物読者264 評価0 分岐1
231章.襲いかかる冷熱読者243 評価0 分岐1
232章.夢だって暴走はする読者332 評価2 分岐1
233章.希望は遠く読者300 評価0 分岐1
234章.激戦読者232 評価0 分岐1
235章.北のギルド読者602 評価0 分岐1
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結城
17.11.08
440
2
1
(8800字です、切りながらでも御読みください)

「………で、金石 十………?………ふーん?」




ジトーっとした半目で言い返す




「…………ッ…………兎に角、拳は僕が治す」

「「「(…………あ、話逸らした)」」」




一斉に無言になる空間





…………………………





「…………だが、此の病って白血病の類だろ?」




ボソリと呟く婪




「……?何が言いたい」

「つまりは、"外からも治さなくてはいけない可能性がある"って事。外、とは現実世界。



抑も、此処は夢世界。私達の意識なんだ。…………普通に見る夢で、夢の中で何かに当たった時に『痛い』と思う事はあるか?







………現実で何かに直面していない限り、そうは思わない」

「でも、此処では不思議と痛覚を感じられる。あたし達、生身はベッドの上とかにあるからね〜。普通だったら壁に当たったりしない限り痛みは感じないけど、今は此処で刺されたりした時の、焼ける様な痛みはハッキリとする。夢で受けた痛みが、現実に影響して、再び夢に戻って来る。




……………現実と、感覚がリンクしている」





拳の、夢世界で侵された此の病は、婪が呟いた通り、現実で言うと白血病の類である



抑も、夢で病に侵される、なんて事自体可笑しい。痛みは有り得る。然し病は可笑しい




夢で病類の影響が出たとしたら、其の発端は現実にある






つまり、拳は現実世界で、白血病に侵されている可能性が有る





夢で抑えても、現実で抑えなくては、再び夢に侵食してくる






「………多分、少し前から発症していたのかもしれない。其れが先の戦いによって、身体に負荷が掛かって、侵攻を早めた。





外から治す術、然も数秒でそうする術が一つある。此処からは、十………だっけ?御前が治せ。多分、能力か何かで病原菌を吸い取るんだろう」

「………御名答」




メアの推理に何か悔しそうな顔をする十



だが今度はメアが何か悔しそうな顔をする



否、悩んでいる?




「外からだが……………うーん、生憎私はヘッドギアで頭が塞がれているから外に言伝が出来ないんだよなぁ……………。………?」




うーんうーん、と首を傾げる

と、何か引っ張られている感覚



メアの服の袖をぐいぐいと引っ張りながら、人差し指で私!私!!と自身を指差しているクレルが居た





「…………其の手があった。クレル、一度外に出る事は出来るよね?」

「当たり前田のクラッカー!!」

「「「ネタ古ッ!?」」」




昭和のネタである。実に古い



ニシシ、と笑う




「だってあたし、というかあたし達、元は意識だけの存在だから。外に生身は無い状態よ。先刻あんな事言ったけど」






会話の内容が意味不明である



意識だけの存在?



外に生身は無い状態?




意味が分からないまま、話は続く





「じゃあ、一度外に出て、あの姉妹に今の事を言って。」

「りょーかいっ!」

「「「………。








……………!!?」」」





スゥ………とその場からクレルの姿が消える




「えっ?





…………何が起きた?」

「夢から覚めただけ。現実に戻ってるんだよ」

「…………否、でも、幻影の石が無いと戻れないんじゃ…………」

「私達…………えっと、私とクレルと冷ね。少し特殊な方法で夢世界に入ったんだ。ほら、前に行ったでしょう?調査員、だって」







此の場、冷以外全員唖然








「調査員なのに、病に侵されたら、ねぇ?」






ニヤリと笑う、メアであった







謎が多い










____現実世界




「っほっ、と!…………うわぁ、荒れてる」





目覚めた___否、現実世界に降り立ったクレル





場所は天道家、隣にはヘッドギアを着け眠るメア





然し、家はごちゃごちゃとしている





周りに、大きな音が響く






「………んあ、どしたのクレセル?うわっ、ちょっ、近付くな獣!!気持ち悪いわ!!」

「何かレイラにでも言われた、のッ!!?」

「てか何だよ此奴等よォ!!」

「家の主が居ない間に襲撃ねェ…………ハッ、趣味悪ィ!」





其処には、二人の少年と二人の少女




少女達は、顔が似ている。一卵性双生児だろうか







其れから、奇妙な生物






実は、クレルが来る前もこうなっていた






____月崎 神






マッドサイエンティストなる、奴が現の家を襲撃した。研究を止める為だろうか






少年少女達。彼等もまた、メアと一心同体の存在、即ち分身体である







ギャアギャア騒ぎながらも、軽々と奇妙な生物達を殺しては消していくので、彼等も腕が立つ





「…………あれ、あの二人何処行った?あとシーファは?」

「ん、ウィルと彗羅?現とか言う此の家の主を連れて来てる。ほらぁ〜…………どっかの科学者とどっかに行っちゃったじゃん?」





どっかの科学者、とは小姫の兄の事である



納得して、ポンと手を叩く




「あ〜そだねェ〜…………ってそんな世間話する為に帰って来たんじゃない!!あのね、主人から伝言!『火之神 拳という少年の許に行って、彼の身体を治してほしい』ってさ!」





ポカンとした表情。然し手は動いている





「………火之神 拳?」

「んーとね、夢世界に居る男の子なんだけどさ、どうやら白血病に掛かってるっぽくてね、でも主人起きる事が出来ないからさ。其れに治癒能力はアンタ等姉妹に殆どやっちゃったから」




手を動かし、生物を殺しながら見つめ合う少女二人





「………つまり」

「私等が」

「「行けと?」」

「そ!命令だからね、多分」






ニッコリと笑うクレル





「…………そう、主人の命なら仕様が無いわね」

「火之神 拳ね?…………場所は……………病院?




そうそう、シーファの事なんだけど…………実は、あの子………………どうやら夢世界に潜っちゃったみたい。レイラの意識を探す為に。二週間前から起きないの。病には掛かってないけどさ」

「………は、起きない?何処に居るの?」

「………クレセル、手前の目は節穴か?母親の隣で寝てるっての」





一人の少年が指差す





眠るメアの隣にもう一つ、寝台







其処には小さな少女が____






ヒュゥ、と口笛の音が一つ




「……………ワァォ。こりゃ…………主人吃驚しちゃうね」

「じゃ、此方も言いたい事言い終えた。一寸男二人、此奴等頼むわよ!!」

「「ウィーっす了解〜っす」」(棒)





棒で返す少年達







「んじゃ、行ってくる!!」





少女達は、家から飛び立つ







「……………それじゃ、私は夢世界にもっかい入るよ。頑張れ〜」






現実世界からも、クレルの姿が消える














____病院






二人の少女達




『病院?』と疑問の持つ言い方をしていたが




一直線に、拳の本体が眠る病院に向かっていた




病室の窓から入り、今は拳の横に居る



病室は、やや暗い





「…………ふーん、この人間か。で、如何する、彩音?」

「うーん、さっさか治しちゃおうか、彩華」





彩音と彩華



其れが少女達の名前である




和装に身を包んだ、彩音が姉


洋装に身を包んだ、今時風の彩華が妹



二人共、片耳に蝶のような形をしたイヤリングを着けている






「別に合図とか無さそうだし…………てか、医者って、患者が病気になっているのに気付かないの?」

「………さぁ?寝てるから気付かないんじゃない?」

「ふーん、馬鹿みたい。今時は駄目だねぇ。だからレイラも人を見下し始めてるんだよ」





二人共、イヤリングを外す




そのイヤリングを上に軽く放り投げると、不思議な形をした杖に姿を変える


パシッ、とキャッチする





「じゃ、始めるよ〜、静かにね」




仮にも侵入者という身である





杖を拳の上に掲げる







「「《『天啓治癒』》」」





ポゥ…………と、暗い部屋に仄かな紫色の光が灯る





その光は、拳の身体を包み_____














……………………………









少女達は、その場から立ち去った






果て、拳の身体は如何なったか?












____夢世界






パッと、姿を現すクレル






「やほー、ただいま〜!」

「御帰り。如何だった?」

「ちゃんと承諾してくれたよ。多分、今は向かってる最中」

「…………お疲れ様」







……………………………









「………で、僕は何時、やればいい?」




十が突然、言を発す




「何時?そうだね……………拳の身体が光り始めてからかな?だからスタンバイしろ」

「…分かった」









「「「…………………」」」






無言な此の空間



先刻から、色々と起き過ぎていて頭が追い付かない人が多い





拳が病に侵されているわ、突然誰か来るわ、クレルが消えるわ……………










「…………あ、そうだ主人。一寸、耳貸して」





またクイクイと、メアの服の袖を引っ張るクレル




しゃがみ、耳を貸すメア



クレルがコソコソと話す






「………_____________…………」

「……………ッ!?」





目を大きく見開く



と同時に、拳の身体が光り出す






「……ッ………タイミングが…………。






……多分、此の会場に居るかもしれない。…………探してくる」

「えっ、ちょっ、主人!?」






医務室から走り出るメア






「おい、光ったぞ!!………って、!?」

「…………ハァ…………。あたしが言うよ。十クン、今が治す好機!ほら、能力!!」

「ッ了解!!」





能力を放つ十





夢と現実での治癒作業





病原菌を、吸い取る十





十の能力は、"強喰"。本来は、相手の肉を食べて、其の相手の能力や力を得るという代物である



だが、其の能力を応用して、このような事も出来る















___徐々に光が薄まっていく















そして、消える_____










「ッ……………ハァっ…………全て、吸い尽くした………」

「んーお疲れ!後は少しすれば、目を覚ますよ」

「……………すげぇ」

「ふぁ…………何、今の」

「良かっ…………良かっ、たぁ………っ!」





感激する者も居れば、驚く者も居て、拳が生き延びた事で泣いてしまう者も居た







無事、成功













闘技場の内部に響く、足音





「ッ………何処……………何処だ……………?」





メアが、何かを探している






____『シーファが、此の世界に居るって』____






「シーファ…………ッ………、何処……!」





走り続けるメア



と、ピタリと止まる






___モニターを見て





次の試合は、東と北ギルドの戦いである




最初は先鋒戦、東からはククロが出る





モニターには、先鋒から大将までの選手の名簿がある




その中の、北ギルドの大将







____北ギルド、大将 - シーファ





………………







北ギルドの控室へ走り出す
















____北ギルド、控室






椅子に座る、小さな女の子



其の少女こそ、対東ギルド戦にて大将を務める、シーファ






足をぷらぷらとさせながら、ある事を思う





____東ギルド…………お母さんが居るかもしれないところ。








……………何で、わたしは戦いたくないってあれ程言ったのに………。






力加減を間違えれば、この前みたいに、森が吹っ飛んじゃうのに…………____







少女は、其の力が強過ぎるあまりに、嫌々代表にさせられた。本人の意思とは関係なく









力加減は、出来ない





したくても、出来ない







母が居なければ、何も出来ない小さな子供




なのに大将を任されてしまった




否、其れ以前に、戦いに出されてしまった








「お母、さん…………」

「……?まーだ考えてんのか、母親の事?」

「うひゃっ!!?




…………ユスタ、さん………?」







後ろから顔を覗かせる、中堅のユスタ




種族は男性では珍しい、女神族。つまり夢の住人である




女神族故、見た目は女性と一瞬見間違えそうなくらい綺麗なのだが、よく見れば男である







「…………はい。抑もわたしが此処に来たのは、お母さんを、お母さんの意識を探す為。




…………………」




俯くシーファ





「……で、其れが東ギルドに居るって?







ふむ……………一寸顔見せてみ」

「はい?」




顔を上げる



ジーッと見るユスタ





「……………?」





普通、男性に顔をまじまじと見られたら赤面するモノだが、シーファは男性には疎いのか





普通に疑問符を浮かべるだけ






「……………どっかの誰かに似てるんだよなぁ………………誰だっけ」

「………???」





うーん、と首を傾げて考えだすユスタ





____誰かに、似ている?____

















と、外が騒がしい



外、と言うよりは控室の外、つまり廊下であるのだが







「っオイ、ちょっ、御前東ギルドだろ!!?」

「煩い、退いて」




揉めているのは、北ギルドの男性選手と、聞くところ、東ギルドの選手(?)。女性の声である





____…………あれ、此の声何処かで………?




「………ッ御前、前大会の優勝者か?…………ウチのギルドに何用で?」






ユスタが対応する




避ける様に少し身を引く男性選手




其の時、一瞬だけ顔が見えた









「…………ぁ、さ……………ん」









ポロリと、口から単語が漏れ出た







____お母さん







椅子からぴょんと降り、控室の入り口へ走り出すシーファ






ただ只管、走る





「…………ん、如何したシー…………おわっ?!!」

「お母さーん!!」

「ッと……………シーファ!?」






女性に、否、少女に飛び付く





東ギルドの少女で、前大会の優勝者





メアである






「「「……………!!?」」」





目を見開く、周りの人達






__えっ、お母さん?姉妹じゃないのか?







__えーっ!!!?








言を発せないくらい唖然しているが、心情では叫びまくっている周りの人達






言わずもがな、メアは見た目が中高生である。それに対し、シーファは8歳なのである





普通に、そう、普通に考えたら、歳の差的に姉妹である






が、普通ではないのが彼女、メアである





先程、中高生と言った。だが、其れは"見た目"だけの話









____中身は、実年齢は四桁








身体がただ単に、成長しないだけ








因みにその当の本人は…………




「………シーファ……………良かっ、…………!」





ぎゅっ、と愛娘を抱き締めている






___心無い化物が、涙を零す







「見つ、けた…………見つけた……!お母さんの、意識……!





………それ、と………………御免なさい………………。勝手に、夢世界に、入って来て…………」




突然謝りだすシーファ





「ッ………何を……」

「だって!……………お母さん、被験体として、此の世界に入ったんでしょ………?被験体って、実験中だったんでしょ……………?大事な、御仕事中だったのに……………勝手に…………!」

「…………何を。…………其れなら、私の方が……………。…………二年も娘を置いて、勝手に入って………………現の願いを叶える為だけどさ………………ッ………私の方が……………………







…………………御免」







ポロポロと涙を零すメア




此処まで夢世界で、彼女が泣いたのを見たのは、誰一人として居なかった







「…………それと」






スッ、と右手をシーファの頬にやる







泣き顔のまま、笑顔になって






「_____大きくなったね、シーファ」

「………ッ、うん!」







と、途端にバタバタと聞こえる音







「………………シーファ、今のその…………アンタの母さん?の微笑みで男共倒れたんだけど」

「「……………………………」」





北ギルドの女性選手が言う




顔を見合わせる母子










………………………………………









「…………シーファ、東ギルドに、来ない?」

「うんっ、行く!!」

「「「は!?」」」




一斉に目覚める





「は、ちょっ…………其れは困るって。シーファは此れから試合だって控えてる」

「だったら、試合が終わったら良い、でしょう?







…………て言うか何、此の娘、戦い嫌いなのに、何で大会にエントリーしている?否、されている?







……………本人の承諾無しに、嫌々やった、とかじゃないよねぇ?え?」






ニッコリと微笑む



然し圧が凄い





皆、目を逸らす






「……………へぇ?そうなんだァ?







殺す」







殺気を、上手くシーファに当たらない様にしながら放つ







場が凍る









「……………でも、エントリーしたからには、出るしかない。…………けど、一つ悩み事、あるよねシーファ?」

「う、うん…………。あの……………力が、抑えられないの……………」





闘力、フル解放中







「……………なんだ、そんな事か。じゃあ、どのくらい抑えたい?」

「え、うーんと……………20万、くらいかな」

「「「え!?」」」

「………私と同じくらいか。了解」

「いやいやいや……………一寸考え直してシーファ。20万?此の大会にはゴロゴロ居るぞ?」








「……………其れが、如何した?






現に私が今、20万だけど。








此処に居る全員、掛かってきても秒経たずに倒せる。








……………シーファの20万は、他で言うと億と少し。否、違うな…………。闘力は20万だけれども、それ以上に力が強い。体術も、能力も、強い。御前等よりな」

「……ッ、其処まで母親の御前が言うんだったら………………」

「…………ふふっ」





ニコリと微笑む





人差し指をシーファの額に付ける





ポゥ…………と、微かに光ったと思ったら、直ぐに消える







「はい、闘力20万になった」

「わ……ぁ!」





身体の彼方此方をペタペタと触り、見る






「…………何か、身体が軽い…!ありがとう!!」

「どういたしまして。







……………却説、私は帰るよ。仮にも、東ギルドのチームを纏めているから、ね?





また後で来るよ」





シーファを離す





「うんっ!またね〜」





手を振る


それに加えて小さく振り返す






………………






「母も母、子も子、か。








……………シーファの嬉しそうな姿、初めて見た」






ボソリと呟く、ユスタ













____試合





先鋒戦、ククロ対ジャンヌ






試合がまもなく、始まろうとしている







「…………」

____人形、じゃなくて体術もちゃんと。




お姉ちゃんと、クレルちゃんと、特訓したんだ。





………………人形に頼りきりにしちゃ駄目。





僕も、戦わなきゃ、自分の身は守れない____






匕首を両手に持ち、構える







「…………………」

____相手は小さい少女。否、少年って言ってたか。







……………油断大敵、暗器使いは危険。








此の試合、私が必ず勝つ____








「其れでは北東ギルド、先鋒戦。





試合、開始ッ!!」

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筆者:Kd  読者:302  評価:0  分岐:1

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このストーリーの評価

Kd #0 - 17.11.09
すごく面白い☆
ククロちゃんきになるます

結城 #0 - 17.11.09
現実世界で出てきた方達は、多分もう出ないかなぁと。でも、現さんが出てきた時にもっかい出るやも



……………果て、何処かでククロちゃんの正体でも明かそうかね

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