これまでのあらすじ
『スピンオフ作品』
「あのさぁジェラネェ、アタシラの旦那ってこーんなKYだったっけ!?」
テーマパークを楽しむ人の群れをかき分けながらモノンは叫んだ。
ジェラも少々イラついたように答える。
「さぁ!でも現に今タイミングが最悪だから、そうなんでしょう!?」
本当はただゆっくりと羽を伸ばすつもりだったのに、二人がこんなにも腹を立てていたのには当然理由がある。
アタミが誘拐されたのだ。それもただの誘拐ではない。
この夢世界における最大の害である化け物、悪夢の住人による犯行だった。彼等の狙いは金等ではない、アタミを餌にして裏切り者である自分達二人を誘い出して殺すことであることは容易に想像できた。
いずれ報復はあるだろう。そう二人は薄々考えていたが、それが今であるとは思わなかった。だからこそ元仲間に対してでも怒りに燃えたのだ。
そんな二人に非通知の着信が入る。
「ごめんね~今不機嫌だからナンパは後で…」
『お久しぶりです、Ms.ジェラ、Ms.モノン。あなた方の記憶力から計算するに私を覚えている確率は100%と考えます。』
「「…!」」
この回りくどい計算式で話す女は世界に1人、悪夢の住人であるテイリだろう。
突然の通信に二人は足を止め耳を傾ける。
「…アタミさんはどちらに?」
『流石ですねMs.ジェラ。スマートにご自身の欲する解にたどり着こうとする。ですがこちらは通常の誘拐犯ではないので解はお教えできません。』
「意外とけちんぼだねテイリちゃん。こんな広いテーマパークで女の子探すなんてムリゲーすぎて泣いちゃうぞ。」
『そんなことはありません、Ms.モノン。解はお教えできませんが使う計算式はお教えします。その一、私は今「パニックハウス」というアトラクション内にいます。
その二…』
「テイリの相棒としてついてきた儂が、ジェラ!おまんに決闘を申し込むことぜよ!」
「っ!」
突然の大声に二人は驚く。目の前にはオオダチがニヤリと笑っていた。
『…以上が計算式です。後は自分達で解を求めて下さい。』
「つまり、ここで別れて貴方達と一対一で戦え…ということですわね…」
「ワシャ算数が苦手じゃき、ようわからんが…まぁそんなところじゃろ。儂もそちらのほうが都合がええしの。ほれほれそこの乳女、はよ行かんと頭でっかちが癇癪起こすかもしれんぜよ?」
「オーケー、上等だよ。100%罠はってそうだけどそれごとぶっ壊す。」
そう吐き捨てモノンはパニックハウスに向かった。オオダチはそれを止めることはない。
すべては己が信念のための行動だった。
「…うし、邪魔者は消えた。ようやく好きなだけ死合えるちゅーことぜよ。」
彼は大剣を片腕で軽々と振り回す。ジェラはそれに無言で刀を抜き答えた。
「おまんの剣術、どこまでのもんか楽しみぜよ!
…ぬおりゃあぁぁぁ!」
──────────
…
……
ここはどこだろう?
たしか私は…誘拐されて…
少しずつアタミの視界が鮮明になっていく。そこには顔の半分が焼けた女の人が複雑そうな顔をして覗きこんでいた。
おそらく誘拐犯だろう。でも何故だろう、不思議と恐怖を感じない。
むしろ、とっても心が安らぐ。
この感じ…ずぅっと前から覚えている。そうこれは…
「…ぉかあ…さん…?」
女の人は何かをいいかけて、でもそれを呑み込むとゆっくりと首を横に降った。
「…あなたのお母さんはこんな嘘つきな化け物じゃないよ…」
そう言ってアタミの頭をやさしく撫でると、名無しはアタミの視界から居なくなった。
アタミから見えない所に行くと名無しはその場でうずくまり、声を殺して泣いた。
本当はそうだと言いたかった。会いたかったと言いたかった。
でも、私は『化け物』。今さら『母』には戻れない。
それでも、やっぱり…私は…
名無しの心のなかで殺したはずの『ユフイン』がまた静かに息を吹き返していた。
テーマパークを楽しむ人の群れをかき分けながらモノンは叫んだ。
ジェラも少々イラついたように答える。
「さぁ!でも現に今タイミングが最悪だから、そうなんでしょう!?」
本当はただゆっくりと羽を伸ばすつもりだったのに、二人がこんなにも腹を立てていたのには当然理由がある。
アタミが誘拐されたのだ。それもただの誘拐ではない。
この夢世界における最大の害である化け物、悪夢の住人による犯行だった。彼等の狙いは金等ではない、アタミを餌にして裏切り者である自分達二人を誘い出して殺すことであることは容易に想像できた。
いずれ報復はあるだろう。そう二人は薄々考えていたが、それが今であるとは思わなかった。だからこそ元仲間に対してでも怒りに燃えたのだ。
そんな二人に非通知の着信が入る。
「ごめんね~今不機嫌だからナンパは後で…」
『お久しぶりです、Ms.ジェラ、Ms.モノン。あなた方の記憶力から計算するに私を覚えている確率は100%と考えます。』
「「…!」」
この回りくどい計算式で話す女は世界に1人、悪夢の住人であるテイリだろう。
突然の通信に二人は足を止め耳を傾ける。
「…アタミさんはどちらに?」
『流石ですねMs.ジェラ。スマートにご自身の欲する解にたどり着こうとする。ですがこちらは通常の誘拐犯ではないので解はお教えできません。』
「意外とけちんぼだねテイリちゃん。こんな広いテーマパークで女の子探すなんてムリゲーすぎて泣いちゃうぞ。」
『そんなことはありません、Ms.モノン。解はお教えできませんが使う計算式はお教えします。その一、私は今「パニックハウス」というアトラクション内にいます。
その二…』
「テイリの相棒としてついてきた儂が、ジェラ!おまんに決闘を申し込むことぜよ!」
「っ!」
突然の大声に二人は驚く。目の前にはオオダチがニヤリと笑っていた。
『…以上が計算式です。後は自分達で解を求めて下さい。』
「つまり、ここで別れて貴方達と一対一で戦え…ということですわね…」
「ワシャ算数が苦手じゃき、ようわからんが…まぁそんなところじゃろ。儂もそちらのほうが都合がええしの。ほれほれそこの乳女、はよ行かんと頭でっかちが癇癪起こすかもしれんぜよ?」
「オーケー、上等だよ。100%罠はってそうだけどそれごとぶっ壊す。」
そう吐き捨てモノンはパニックハウスに向かった。オオダチはそれを止めることはない。
すべては己が信念のための行動だった。
「…うし、邪魔者は消えた。ようやく好きなだけ死合えるちゅーことぜよ。」
彼は大剣を片腕で軽々と振り回す。ジェラはそれに無言で刀を抜き答えた。
「おまんの剣術、どこまでのもんか楽しみぜよ!
…ぬおりゃあぁぁぁ!」
──────────
…
……
ここはどこだろう?
たしか私は…誘拐されて…
少しずつアタミの視界が鮮明になっていく。そこには顔の半分が焼けた女の人が複雑そうな顔をして覗きこんでいた。
おそらく誘拐犯だろう。でも何故だろう、不思議と恐怖を感じない。
むしろ、とっても心が安らぐ。
この感じ…ずぅっと前から覚えている。そうこれは…
「…ぉかあ…さん…?」
女の人は何かをいいかけて、でもそれを呑み込むとゆっくりと首を横に降った。
「…あなたのお母さんはこんな嘘つきな化け物じゃないよ…」
そう言ってアタミの頭をやさしく撫でると、名無しはアタミの視界から居なくなった。
アタミから見えない所に行くと名無しはその場でうずくまり、声を殺して泣いた。
本当はそうだと言いたかった。会いたかったと言いたかった。
でも、私は『化け物』。今さら『母』には戻れない。
それでも、やっぱり…私は…
名無しの心のなかで殺したはずの『ユフイン』がまた静かに息を吹き返していた。
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筆者:ハゴ 読者:453 評価:3 分岐:1
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このストーリーの評価
ハゴ #0 - 17.09.22
![](http://mincomu.dojin.com/sns/~image/userNoImg.png)
時裂の塔編の間に起きた出来事ですね。
本編でモブが話していたセントニアシティ襲撃の話をいっているのならそうなるかと。
本編でモブが話していたセントニアシティ襲撃の話をいっているのならそうなるかと。
Kd #0 - 17.09.21
![](http://mincomu.sakura.ne.jp/~upImg/sns/2402/24_225544.jpg)
すごく面白い☆
シリアス的な展開に!!
ちなみに時間的に考えるとセントニアシティの前ですよね?
ちなみに時間的に考えるとセントニアシティの前ですよね?