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『短編集』
この物語は 短編集 です
1章.短編集読者833 評価0 分岐18
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マリナ
14.12.20
267
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「光ってさぁ、酸素みたいだよね。」
俺の彼女は正直変わってる。だから帰り道にこんな風に唐突に思ったことを喋りだすなんて、日常茶番だ。
「急にどうした?」
俺の返答に、彼女は何故か嬉しそうに笑って口を開く。
「だってたくさんの人に必要とされてるじゃん。みんな光がいないとさびしいって言ってるんだよ。」
「俺人気者だからね。」
たぶん彼女が言っているのは俺が風で休んだ昨日のことだろう。余裕な感じで返したつもりだが、自分でも口もとが緩むのがわかる。
「それに比べてさぁ、私は二酸化炭素だよね。」
空を見上げてそう言う彼女は、いつもよりどこか大人びている気がした。
「……なんでって聞いた方がいいか?」
「うん。聞いてよ。」
早く聞けと言うように俺のことを見上げる彼女は、いつもの彼女だった。
「なんで?」
「いてもいなくても変わんないし、敢えて言っちゃえばいないほうがいい、みたいな。」
さも当たり前のことのように言う彼女に、俺はイラっとする。
「なんかあったか?」
「でもね、私にとって光は木だと思う。私を酸素に変えてくれる、木。」
俺の言葉を無視してそう言う彼女に、更にイライラは募る。はぁー。
「……お前の言ってること正直よくわかんないけど、俺が酸素ならお前は人間でいいと思う。」
呆れて素っ気なく言う俺を、彼女は不安そうな目で見つめる。
「強いていうなら、宇宙に行く人間な。」
彼女の頭をぽんぽんとしながら俺は言う。本当にこいつちっちゃいな。
「なんで?」
はぁー。なんでこういうことだけは鈍いんだろうな。

俺はさっきの彼女みたいに空を見上げる。あっ、ひこうきぐもだ。
「だって人間って酸素がないと生きていけないんだろ?」
俺の言葉に、彼女が笑顔になったような気がした。絶対見ないけど。
「あっ、ひこうきぐも!」

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このストーリーの評価

マリナ #12 - 14/12/31(水)
今更ながら漢字間違えに気づきました。
すみません。
風→風邪

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