ゴシックの精神
北フランスで建設が始まったゴシック様式の教会は、
著者がプロローグで述べているようにゲルマン民族のゴート人が創り上げたものではなく、
むしろその地の先住民族たるケルト人に関係が深い。
パリやシャルトルの大聖堂の地下を掘っていくと、
ケルト信仰の聖所が出て来るというのも象徴的だ。
フランスの山村では中世時代になっても多くの農民達は、
異教である大地母神の信仰を頑なに持ち続けていたようで、
カトリックの布教者は彼らに違和感を与えることなく改宗させるべく実に老獪な策を敷いた。
彼らの信仰の場所であった森林をイメージさせる広い空間と高い天井、
木々の枝が上昇していくようなリブや尖ったアーチ、
そして執拗とも言える樹葉のモチーフを使った装飾、
更に木漏れ日はステンドグラスに取って代わり、
古代の生贄の観念は苦悩するキリスト像にオーバー・ラップさせる。
こうして大地母神信仰が鮮やかに聖母マリア信仰にすり替えられていく。
また著者はゴシック教会の装飾としてしばしば使われる魑魅魍魎の彫刻やレリーフについて、
グロテスクなものを好む感性は異教の感性と断言している。


ルネサンス時代にゴシック様式は均整と調和を欠くものとしてラファエッロやヴァサーリによって糾弾された。
確かにフランス、
スペイン、
ドイツに比較してイタリアには純粋なゴシック様式の建築物は数えるほどしかない。
しかし著者はルネサンスでは許されなかった未完了のアンバランスな姿こそ終わることのない時間の流動性の表現であり、
ゴシックの本質と結論付けている。
ゴシックの大聖堂が異種のものに身を開いているように見えるのは、
異教から流用された精神的、
物質的なあらゆるエレメントが今もってそこに息づいているからだろう。
この著書では酒井氏が建築学の立場に立ったゴシックの特性だけでなく、
それが導かれた宗教文化や精神面から筆を起こしているところに価値があり、
日本語で書かれた類書の中でも優れた内容が特筆される。
ゴシックとは何か―大聖堂の精神史 (ちくま学芸文庫)

その他の感想

JUN2
試してみたい!
しっかり突っ張りますよ!!
バレンタインデー…
mata194
肌にはとても良い
全般的にかなりブラッシュアップされてる。
支配者層が【どのような視点を持つ可能性があるか】を逆説的に警戒したい誰かへ
トパーズが取れやすいです。
良いですい
電源OFFがデフォなのでペアリングが面倒・・・
久しぶりの「音楽小説」
生理前、生理中のしんどさ、自律神経失調症に
NS-1復活!
使用済み、、、
プレゼントに購入
眠りを「見える化」できます!
様々な作家を読めて
効率がよい保存手段
ききめばっちり ★
台無しになってしまう
最悪だ!!さすが中国品
壮大なスケールの経済社会論
不具合または設定を見直していますが
今回はおもしろかった
ホンダ ヴェゼルに取付
多様で生きのよい傑作が一皿に盛られてます
9割我儘ですが
サラサラ感があります
600件もレビューがあるだけのことはある
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