乾いた原作を詩的に映像化したクライム・フィクションの佳作

ロマの子供を事故で殺してしまった過去を持つ男が・・・というお話。

「私はこの映画版「狼は天使の匂い」に名作や傑作という一種の枠組みから開放された、
ある意味ではこれこそが映画の本道ではないかと思わせられるほどの、
ほとんど一筋縄ではいかない、
映画の魅力を教えられたのである。
」
上記の文章はこの映画の原作の解説で原寮氏が書いたものですが、
原氏はこの映画から一種の啓示のようなものを受けたらしいですね。
私は残念ながらそこまでの衝撃は受けませんでしたが、
確かに傑作や名作というものとは別種の魅力、
原作の乾いたクライム・ノヴェルを詩的に映画にしたジャプリゾとクレマンにその才気を感じました。

映画史に残るかどうかは微妙だと思いますが、
一見の価値ある映画。
機会があったらどうぞ。