『短編集』

この物語は 短編集 です

AM8:05

「おはようございます。おはようございます。」

俺は校門の前で一人、あいさつ運動をしていた。
しかし大半の生徒は返事を返してくれない。
何のためにやっているのか分からなくなる。
ていうか何で俺一人なんだ。
本来六人いるはずの生徒会役員。
今この場にいるのは俺一人だけ。

「何で俺だけ……。」

そんなことを思っている間も何人かの生徒が俺の前を通り過ぎる。

「おはよー。」

何も言わずに通り過ぎる生徒の中に笑顔であいさつを返してくれる生徒がいた。
同じクラスの前田さんだった。
彼女は明るくて天然混じりのホンワカ系女子だ。
俺はなぜか彼女の笑顔を見ると胸が熱くなった。

嫌なことだらけのこの世の中。
でもその分嬉しいこともあると、俺は思った。