家族、親と上手くいかない方に。

寺山修司。
名前は聞いたことはあるけれど、
読んだことのない作家さんでした。
有名なのは「書を捨てよ、
町へ出よう」の方なのでしょうけど、
タイトルに惹かれてこちらを購入。
見事にハマりました。


さっくりと言うと、
家族から離れてみると視点が変わるよ、
ということをところどころで語っているんですけれど、
それがまあ、
心地のいいこと。

自分の話になりますが、
親と距離を取りたく思い一人暮らしをした矢先で、
周りの人から親に冷たくするなんて…と言われ続けて心が折れかけていた時だったので、
この本の語り口にはとても救われました。


ドラマに出てくる綺麗事の家族像よりも、
人間臭く毒のあるこちらの本の家族像の方が、
私には合っていたみたいです。

家族は常に愛さなくてはいけないもの、
と思い込んでいた私にとって目から鱗でした。

読んでから調べたのですけど、
どうやら寺山修司さん、
お母様との関係性にかなり悩んでいらっしゃったようなので、
シンパシーを感じました。

親との関係性に悩んでいる方や、
家を出たことのない方は一読の価値ありです。


この通りに家出をせずとも、
家族感とはなにか、
私たちの当たり前、
常識とはなんだろうか、
という疑問提起になるかと思います。

寺山修司の言葉をそのまま鵜呑みにするのではなく、
寺山修司という世間の常識やモラルと真逆のことを唱える毒を味わうことで、
自分の意見を定めるきっかけを作ることができるのではないでしょうか。