日本に迫る格差の構図がよくわかる

日本経済の予想も説得力がありおもしろかったが、

それよりも興味深かったのがアメリカの格差拡大を説明した章だった。


何故アメリカで格差と貧困が拡大しているのか、
非常にわかりやすい説明をしている。

エネルギー価格の高騰が始まった2000年以降も、
バブルが崩壊した2007~2008年以降も、

アメリカはインフレ政策を取り続けた結果、
アメリカ人の実質賃金が怖ろしく
下がってしまったことが詳細な資料によって明らかにされている。

名目のGDPが成長拡大してきたといっても、
庶民がエネルギー、
食糧価格の高騰によって
14年間で実質賃金が30％も下がってしまっては、
格差貧困が拡大するのは当然のことだ。


2000年以降の先進国のインフレは隠れた税金と同じであって、
そこに株主優遇資本主義が加担して、

庶民（中間層）から株主や企業に所得が移転している構図がわかりやすく説明している。

そして、
日本がアメリカと同じ道を進まないようにと、
中原さんは強く警鐘を鳴らす。

日本人が自国に迫っている本当の格差の構図を知るのに最適な書だと思う。