宮台氏の対談者4人の方の、"幸福"、そして"生"

『畢竟、
我々は幸福でない。
幸福になれる見込みもない。
我々は"終わりなき日常"に圧迫される以外の方法を知らない。
それが3.11で明らかになった。
(中略)「幸福とは何か」の問いを笑い飛ばせる者はいない。
だから、
「幸福とは何かを」を人に尋ねてみたくなった。
』

本書プロローグの19ページからの抜粋です。
この様にして、
この、
"いま、
幸福について語ろう"、
という本が生まれたとのことです。

私は、
友人から勧められて観た"魔法少女まどか☆マギカ"に感銘を受けた中年男性の一人で、
この本は、
宮台氏の著書で、
かつ幸福論の本ということでどの道買う予定でしたが、
"まどマギ"の脚本家である虚渕氏との対談も入っているということで、
凄く読みたかったです。

大きな好奇心も相まってか一気に読み終えた本書、
先ずは宮台氏と虚渕氏との対談で始まります。

「"まどマギ"、
面白かったなぁ。
」と私も多くの人同様思っていたのですが、
まさか宮台氏までもが絶賛される程のアニメとは思っていませんでした。
「"まどマギ"の様な話には、
世界の終末観はあっても何故世界が終わるか、
終わらねばならぬかの説明がない、
現実から切り離されている。
」、
と批評される方も居られますが、
それでも素晴らしいのでしょう。
主人公鹿目まどかの自己犠牲は、
キリストのそれと重なるところがあると宮台氏は仰ります。
その後、
まどかの献身が果たして本当に自己犠牲か、
単なる自己貫徹かという話に移ります。
"人間関係"のメタファーとして、
所謂"旅"の話も出てきますが、
ここには、
虚渕氏の幸福観、
氏が思う幸福になるコツの様なものが書かれています。

佐々木心音氏とのダイアログでは、
宮台氏が、
"色気のある女性"になりたいという佐々木氏に対して、
氏が思われるその実現法のヒントみたいなことが書かれていました。
彼女との対談には、
他にも、
宮台氏の社会学的、
神学的、
哲学的薀蓄が満載で、
凄く面白かったです。

宮台氏が本書を通して何箇所かで話題にされたのが、
氏の言葉で言う、
「自分を乗り難い車に例える。
」という内容のパラフレーズ。
読んで理解し、
そして実践出来れば、
"幸福"になる上で有用な技術になると思います。