芸術だけが人間の苦しみと孤独を癒すことができる

　佐伯祐三からムンクに至るまで、
二十世紀前半に活躍した30人の画家に関して、
それぞれ幾つかの作品を取り上げ、
短いエッセーとして4〜5ページほどに纏めたもの。


　本の題名と序文の題名をそれぞれ「青春の死神」、
「地下室の窓」とした理由も序文の中で説明されている。
表紙絵はエゴン・シーレの「死と乙女」であり、
本文の中でも取り上げ説明している。
エッセーの数としてはゴッホが二度説明されているため全部で31である。
巻頭にマルケやグロスなどの９枚の絵がアート紙を使って載せられている。


　画家の人生や作品を解説しながら、
著者の苦しい時代の思いをそれに照らし合わせるように綴っている。


　それぞれ短いので、
今まであまり関心のなかった画家の解説についても気軽に読め、
彼らの作品を知ることも出来て良かった。
ただし、
固有名詞の誤植があること、
引用の出典の書き方に統一性のないことが気になる。
いずれも出版社側がもう少し注意をすれば解決する問題で残念です。