31 現実不参加の文学であると、当時批判された

１七人の使者：王子は国境をめざして旅に出た。
王国へと使者たちを往復させながら国境をめざすのだったが、
何年経っても目的地にはたどり着けず、
使者の行き来も次第に間遠になって…

２大護送隊襲撃：牢を出た山賊の首領には、
元いた場所にはもはや居場所が無く、
独り暮らしを始めるのだが、
そこに１人の若者が現れ、
一緒に大護送隊の襲撃計画を練ることになる…

３七階：入院した病院は重病人ほど下の階にいる。
軽い病で最上階に入院することになった私は、
ある日、
病院の都合で一階下の病室へ一時的に移って欲しいと言われる…

４それでも戸を叩く：雨の激しく降るある夜、
危険の兆候が客からもたらされたにも関わらず、
夫人は世間話を喋り続ける…

５マント；母は二年ぶりに戦地から帰ってきた息子を喜ぶが、
蒼ざめた顔色のその息子はマントをどうしても脱ごうとせず、
人を待たせているからすぐに発つという…

６竜退治：竜がいるという伝説を頼りに、
渓谷へ向かった彼らは謎の生き物を見つけ、
いたずらにその命を奪うが、
その竜が苦しみつつも声を上げなかったのには理由があった…

７水滴：夜な夜なアパートの階段を水滴が昇っていく音がする。
自分の階をそれが通り過ぎると、
皆はほっとするのだったが…

８神を見た犬：死んだ隠者が飼っていた犬の存在が、
町の人々の生活を規範で自縄自縛にする。
犬が死んだとき、
皆はほっとするのだったが…

９なにかが起こった：終点まで止まらない特急列車の窓から、
群衆が何事かに慌てふためいて逃げまどう様が見える。
ようやく終点に降りたった私は、
人影を探すのだったが…

１０山崩れ：編集長から取材するように言われて辺鄙な山奥に向かった私は、
早速、
その村で起きた山崩れについて尋ねて回るのだったが、
住人達の証言は頼りなく、
なかなか目指す場所にたどり着けない…

１１円盤が舞い下りた：ある夜、
空から下りてきた火星人に、
楽園の林檎や十字架上のキリストを人類はどうしてきたのかと問われ、
人々は人間の救いようがない性を思い知らされる…