社会心理学系CMC研究の第一人者たちによる研究初級者にも優しい概説入門書

CMC（コンピュータ媒介コミュニケーション）は、
コンピュータの普及とともに発展してきた分野です。
電子メール、
メッセンジャー、
BBS、
ブログ、
SNSなどCMCは多様で、
その研究はとても面白いと思います。
CMC研究は、
工学系、
社会言語学系、
社会心理学系などがありますが、
本書は、
社会心理学系で長年CMC研究に第一線で活躍している研究者たちによる概説入門書です。

1）個人、
2）対人相互作用、
3）コミュニティ、
4）社会・文化と、
対象のレベルを分け、
それぞれにおいて、
インターネットが現代社会にもたらす変化に関する社会心理学的研究のこれまでの知見がまとめられています。

扱われているトピックは、
インターネットパラドクス、
自己呈示効力感、
手掛かり濾過アプローチ、
SIDEモデル、
社会的ネットワークと孤独感、
ブログ研究、
知識共有コミュニティ、
社会関係資本など、
とても多様です。

内容は専門的に高度な部分もありますが、
どの章も、
理論と実証的研究に分け、
研究初級者にもわかりやすいように配慮されていると思います。
実証的研究では、
具体的な調査研究が紹介されているので、
卒論研究などの主題や方法を考える時にも参考になると感じました。

社会心理的CMC研究がどのようなものかを知る上で、
多様な主題を濃縮した概説として理解することができる本です。
社会心理学が専門でないCMCに関心のある方にも、
一読をお薦めできる本だと思います。