読後感が非常に悪い。

本書、
「はなちゃんのみそ汁」というタイトルにも関わらず、
はなちゃんは完全な脇役である。
という点で、
まず何か子供をダシに使っただけのような感じがして、
そこがどうもしっくりこない。


で、
肝心の内容だが、
ごくありふれた闘病記。
以上でも以下でもない。

それも、
治療の過程で知ったマクロビオティックとホールフードに必要以上にのめり込み過ぎて、
一度は命を救いかけてくれたＢＪ先生の助言まで無視し、
さらに、
がんの経過観察中にも関わらず、
あろうことか定期検査をおろそかにするという、
半ば自殺行為のようなことまでして再発しているので、
自身も病気で身内を亡くしているが、
全く同情できなかった。


最善を尽くしている、
という感じにまとめようとしてはいるが、
単に恒常的に躁(そう)状態になっていた母親に、
本来は冷静になるべき周りの人間たちが引きずられ、
巻き込まれたあげく、
永らえることが出来た寿命を縮めてしまったようにしか、
何度読んでも思えない。

闘病記は何冊か読んだことがあるが、
こんなに後味の悪いものは初めてだった。


この本に登場する人物で、
ただ一人「賢い」と言っても差し支えなかろうと思えるのが娘のはなちゃんで、
最終章の彼女のエピソードだけがこの本の救いだと思うので、
彼女にだけレビューの星を１つあげようと思う。


買ってまで読む本ではない。
ブームの過ぎた頃に、
図書館にでも言って流し読みするくらいがちょうどよいだろう。