上手く説明された本であるが、それでも分かり難い箇所は多い

　レビューの多くは、
分かりやすいことを強調しています。
しかし、
私が読んだところ、
「そこまでかな？」という印象を持ちました。
検定済み教科書と見比べたわけではなく、
また、
高校時代に地学を履修したわけではないので、
何らかの比較対象があるわけではありませんが、
純粋にこの本のみを読んだ感想としては、
説明足らずで分かり難い箇所も多い、
という印象を持ちました。


　この本の著者は、
おそらく非常に文章力・説明能力に優れた先生方であると推察します。
それは、
この本を読んでいて感じ取れます。
しかし、
科目の特性上、
言葉による説明には限界があります。
「百聞は一見に如かず」が、
強く当てはまる世界だからです。
しかも、
おそらく本書のシリーズ上の制約と推察しますが、
白黒で表現されており、
この点からも伝達性に限界があり、
著者の苦労が偲ばれます。
本書には、
もちろん図や写真も多数ありますが、
本書のサイズと色の制約から、
これらの図や写真の伝達力にも限界があります。


　ただ、
このような制約の中、
本書は、
物語調に丁寧に説明してくれているので、
目から鱗の箇所も多数あります。
検定済教科書で分からない箇所について本書を参照するという使い方もあると思います。
また、
NHK高校講座が誰でも無料でWEB視聴できるので、
これを視聴した後に本書を読むと、
本書の弱点（＝視覚的伝達）を補え、
初学者がいきなり読むよりは本書をスムーズに読むことができます。
「もういちど読む数研の高校地学」を参照しつつ本書を読むのも良いと思います。
「もういちど読む数研の高校地学」には、
カラフルな図や写真が多用されているからです。