ジョジョの奇妙な冒険 第8部 モノクロ版 17 (ジャンプコミックスDIGITAL) の感想

どうしても地味な印象になりがちです。今回はほぼアーバン・ゲリラ戦で終ってますね。
普通の漫画だとバトルシーンのほうが派手めな印象を受けるのですが、ジョジョリオンのこの「あー、またバトル始まっちゃったよ」という心境は何処からくるのでしょう。
五部や七部とは対照的。恐らく、五部や七部のようなスピード感のある展開の中での戦闘であれば、アーバン・ゲリラのような、奇抜なルックス以外はいまいち印象的でない（あまり背景などが描かれていない）敵との戦闘であっても、
そこそこ面白く読むことも出来たのでしょうが、ややゆっくりなテンポのジョジョリオンの中でのこのような敵との戦闘は、どうも退屈な印象を持ってしまう。
リフトの上と下との戦闘、というかなり変った設定の中のバトルでも、そう感じてしまうのです。
ましてや、五部ではそのスピード感のある展開の中、ごく僅かな登場回数でも敵キャラを魅力的に描ききっていました。
ジョジョリオンのようなテンポの中でも敵を魅力的に描こうと思った場合、八木山夜露や田最環のような、一部の印象的な岩人間をもう少しクローズアップして、ゆっくり描くべきだったのではと思ってしまいます。
岩人間一人ひとりとの戦闘を、四部の吉良戦や六部のプッチ戦のごとく、それぞれをラスボス並みのスケールで、一度の戦闘ではなく物語の随所で。

或いはいっそ思い切って、戦闘シーン自体を大胆にもっと削ってしまったほうが良かったのかもしれません。
今回、戦闘向きでないスタンドが多めなのは、戦闘一辺倒の漫画にしたくないような思惑が最初はあったのかもしれませんが、
結果として今までの内容を鑑みるに戦闘の回数自体はそこまで減っておらず、ソフト&ウェットばかりが活躍することとなってしまい、より退屈感を増長させています。

16巻では物語が大きく動いたり、豆銑礼が久々に非常～～に面白みのあるキャラクターであったり、18巻でも久々に定助以外のキャラ（常敏）が戦闘で大立ち回りを演じたりといったことが控えているだけに、この17巻がより薄っぺらく感じます。

どんどん訳が分からなく。。もういいかなあ。集めるのは。という感じ。

　ラスボス不在は相変わらず……というか、ラスボスが登場しなくてもいいんで、そろそろ岩人間全体の思想を具体化してほしい。
　彼らの目的が達成されるとどう人間がヤバくなってしまうのか?　そういう全体的な思想が提示されれば緊迫感が生まれると思う。今のままだと脅威が抽象的過ぎる。ジョジョの主人公の目的はあくまで個人的なものであっていいと思うのだが、やはり対比としてラスボスの巨大な思想が欲しい。プッチ神父やヴァレンタイン大統領は大いなる目的を持っていたが、主人公はあくまで個人的な理由で立ち向かっていったと思う。その対比がジョジョの面白さを占める大事な一部なので、岩人間側の事情がちゃんと明かされるとグッと面白くなると思う。岩人間は組織立って動いているみたいなので、岩人間のチームや会社を登場させてみせるとか……まあ色々あると思うんだけど、ともあれそこら辺は今後に期待。
　今のところは場当たり的な展開に終始している感じはある。いや、スタンドバトルは面白いんだけど……やっぱりジョジョは全体にかかる重圧があった方が緊迫感があっていい。

前巻の岩人間との戦いが続きます。そこでの話を聞くと彼らは柱の男に、新ロカカカはエイジャの赤石にいくらか重なります。正直この岩人間からは燃えるゴミの臭いを感じて胃がもたれたのですが既視感とそれとの相性の説明などが設定的な謎を解き明かす糸口のようでほんのちょっぴりだけすっきりしました。
ページ数は多くはないですがしっかり新たな敵も出てきます。8部に全く期待しなくなっていた私ですがこいつの能力にはなんだがワクワクさせられました。
惜しいことにここに至るまでの内容が良ければ使い捨てだろうともっとこいつらは輝いていただろうにとそんな気持ちが非常に強くでる巻でした。それくらいのキャラなのに現状では一時的に元気にさせる栄養ドリンクのような安い扱いにしか見えないのです。部分部分で見て8部は素晴らしいからこそどうにかならないのかどうにもならないんだと辛くなります。