リア王 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルリア王 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者ウィリアム シェイクスピア
販売元新潮社
JANコード9784102020050
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ » イギリス・アメリカ

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またしても、宮廷を舞台にした極めて下世話な人間模様だった。
うんざりするほど大仰な修辞に飾り立てられた長ゼリフも相変わらずだった。

リア王はよく居る箸にも棒にも掛からない頑固じじいだった。
現代の日本でも病院やジムに行けばゴロゴロ居る。
死ぬ直前少しだけ反省する所だけが物語と言えるだろうか。
現実にはまず居ない。

甘言で領土と権限を委譲された長女と次女が手の平を返したように老王を邪険に扱うのもよくある話だ。
唯一、心の綺麗な末娘が頑迷な王に直言するのも賢明とは言えない。
庶子である息子が悪辣な陰謀で嫡子を陥れるのもありきたりだ。

中世ならともかく、ストーリーテリングと修辞の巧さだけで引っ張れる話では到底ない。

シェイクスピア四大悲劇の内の一つである『リア王』。

壮大なスケールの下、ゴネリルとリーガンという二人の娘に裏切られたリア王の、狂気の中に理性を含んだ叫びが表現される。基本的にキリスト教的な要素が希薄であり、その為、人間という一個の「動物」に過ぎない醜い生き物の本性というのが暴かれていく様子が衝撃的で、読んでいて胸に突き刺さってくるような悲痛さを感じる。

「生れ落ちると、われわれは泣き叫ぶ、阿呆どもばかりのこの大舞台に引き出されたのが悲しくて。」

という名台詞を初めとし、狂人と化したリア王の放つ言葉には、人間存在の真理が込められており、その他にも自分の心に何時までも強く残るであろう名台詞が、所々に散らばっている。
老年期に読むと、さらに味わいも変わりそうな一冊である。

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