民主主義のつくり方 (筑摩選書) の感想

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参照データ

タイトル民主主義のつくり方 (筑摩選書)
発売日販売日未定
製作者宇野 重規
販売元筑摩書房
JANコード9784480015839
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治学

購入者の感想

 本書では、ルソーの社会契約論の一般意思に代表される、「代表によってなにがしかの意思統一を図る」統治を前提にした(制度も含めた)「民主主義」の思想に対して、その思想とは少なくとも社会実践の行動などについての優先度の異なる、アメリカのプラグマティズムにおける民主主義についての見解を対置し、パース・ジェイムス・デューイのプラグマティズムの源流や民主主義の思想、経験や慣習などプラグマティズムにおける実践的なものの持つ意味などをふまえた上で、様々な点で制度疲労を起こしているように見える「代表制と民主主義的統治」の今後に、必要な社会的な活動の持つプラグマティズム的民主主義の意味を分かりやすく解説している。
 また本書が政治思想史的な研究でありながら、現代においてプラグマティズム的民主主義のある部分を連想されうる、ソーシャルビジネスの展開の日本における状況にもふれながら、震災後以降課題となる日本の民主主義のゆくえを構想する。

 まずこの本のタイトルで、私が連想したのが、社会関係資本ですとか、アメリカ人の生活スタイルが、「ボウリングに一人で行く」ほど個人化してしまったかを膨大なデータと理論研究を記した大著で知られるロバート・パットナムの『Making Democracy Work』 でした(ただしこの本の優れた邦訳は、なぜかタイトルは『民主主義を哲学する』となってたりします…)。
 行政の効率性と、「市民の伝統」ともなる地域における様々な文化の担い手でもある小集団の存在とが、ある種の因果関係を連想されるがごとく結びついている中央イタリアの状況を分析した良著です(いささか図式的な説明はありますが、まそれはそれとしてわかりやすいですから)。但しパットナムの本と宇野先生の本の違いのにもなるかなと私が感じる点は、パットナムの場合、中央イタリアの現状という現実から描写が始まり理論的な整理やイタリアの南部との比較史が後半に展開される読後印象だったのに対し、宇野先生の場合には、現在日本の各所で「地域の活性化」とか「震災復興」などの目的で行われているソーシャルビジネスの展開についての思想的な位置づけをプラグマティズムの民主主義思想から行おうとしている、そういう試みを読後に感じる点でしょうか。

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