とっておき名短篇 (ちくま文庫) の感想

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参照データ

タイトルとっておき名短篇 (ちくま文庫)
発売日販売日未定
販売元筑摩書房
JANコード9784480427922
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学

購入者の感想

北村薫・宮部みゆきのコンビによる「名短篇」のアンソロジーの三冊目です。

今回は、三部構成になっています。
第一部は「愛」をテーマとした短篇集が並んでいます。
「愛の暴走族」(穂村弘)、「ほたるいかに触る」(蜂飼耳)、「運命の恋人」(川上弘美)、「壹越」(塚本邦雄)の四編です。
どの作品も素晴らしいのですが、個人的には「運命の恋人」が、一番印象に残りました。
それにしても、どの短篇もラストの文章が素晴らしい。
やはり短篇の命は、この最後の数行の文章にある様に思います。

第二部は、特集的に挟みこまれた飯田茂実の「一文物語集」です。
ここにとられているのは、108の文章ですが、どれも一味も二味もあって興味深い作品ばかりです。
たった一行で、こんなに物語れるのだとつくづく感心させられました。
いろんな意味で、この本を読んで良かったと思えたのは、この作品の様な気がします。

第三部は、「怖さ」をテーマにしたもので、様々な作品が揃っています。
「酒井妙子のリボン」(戸板康二)、「絢爛の椅子」(深沢七郎)、「報復」(深沢七郎)、「電筆」(松本清張)、「サッコとヴァンゼッティ」(大岡昇平)、「悪魔」(岡田睦)、「異形」(北杜夫)。
どの一編をとっても、唸らされる作品ばかりです。
「酒井妙子のリボン」は、「婦系図」を外国人の目を通して様々に解釈させる話で、男女の問題以上に、そちらに興味深さを覚えました。
「サッコとヴァンゼッティ」は、思想的な偏見が裁判を歪めてしまう話で、現代にも通用すると言う意味で、現実的な「怖さ」を感じました。

いずれにしても、短篇と言う事で、一つ一つの言葉の持つ重要性が高いと言う事もあって、これしかないと言う様な言葉づかいがされており、全く贅肉の無い素晴らしい文章が並んでいました。
この研ぎ澄まされた文章に、読み手も真剣にならざるを得ず、いつも以上に丁寧に読みました。

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