いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトルいちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本)
発売日販売日未定
製作者菊池 誠
販売元筑摩書房
JANコード9784480860798
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 原子力・放射線

購入者の感想

 市民社会フォーラム第128回学習会「物理学者・菊池誠×ミュージシャン・小峰公子 いま知っておきたい放射線のほんとう」に参加した。

 3年前の原発事故によって、物理学がいきなり日常生活に入り込んできた。
 ベクレル、シーベルト、線量なんて、これまで縁のなかった単位や用語が氾濫し、誤解を生んだことも多く、しばし混乱をきたしたことは記憶に新しい。
というか、いまだに誤解を続けて混乱している人もいる。

 学習会の内容は、菊池さんと小峰さんの苦労話だ。
 小峰さんに放射線のことを菊池さんが教えるんだけど、物理学者が簡単だと思い込んでいることでも、小峰さんに伝わらない。
えっ、そんなことから説明しなきゃいけないのとか、そうか、そこが分からないのかという、菊池さんの学びのお話でもあった。

 細かな知識を知っていても、基本がまるでなってない人が、まだいる。
 昨日もツイッターで「1マイクロシーベルトと言っても外部被曝と内部被曝は異なるし、核種によって害はまちまちだから、数字に誤魔化されてはいけない」なんてことを書いてくる人がいて驚いた。
シーベルトの概念をまるで誤解して、分かったつもりでいるのだ。これでは推進派の安全論に太刀打ちできない。

 こんな話を思い出した。
 ある成績の良い高校生が、日本がアメリカと戦争して負けたと聞いて驚いたという。
 生徒に驚かれた教師も驚いた。
 なぜなら、その生徒は、「真珠湾攻撃 1941年」とか「降伏文書に調印した人 重光葵」とか、テストで正解していたからだ。
 いくら年表を正確に暗記しても、その生徒は全体像がちっとも分かっていなかったのだ。
 知識は細切れではダメなんで、体系的とまではいかなくても、全体の組立が分かっていないと、とんでもない間違いを犯す。
 ときには全国紙の記者が善意で「甲状腺被曝、最高87ミリシーベルト」なんて記事を書いて、読者を不安に陥れてしまうことにもなる。
 この記事がどのように説明不足かは、本を読めばわかる。

 ほんとうにいちから丁寧に解説してくれる本だ。

ニュースを見ていると放射線についての用語が次々と出てくる。
シーベルト、ベクレル、空間線量、内部被曝などなど…
そもそも放射線と放射能と放射性物資の違いはなんぞや?
意味をきちんと理解してニュースを聞いているヒトは少ないのではないかと思う。

この本は対話調で極めて平易に書かれており、科学知識ゼロからでも
放射線に関する基礎的な知識を得ることができる。
解説については簡略化したりしている部分があるが、一般市民が
放射線についてのニュースを理解できるようになる目的には十分すぎるレベルだ。
そもそも学者を養成する本ではないのでこの編集方針は正しい。

こういうことは誰も教えてくれないだけに、不安ばかりが先行してしまったり、
どの情報が正しいのかわからないという状況に陥りがちだ。
しかしちゃんとした知識を得て自分の頭で考えることにより、物事がクリアに見えてくる。
「わかったフリ」をやめるための基礎的な教養書として是非オススメしたい。0

震災から3年が経って、もう少しなんとかなってるといいなあと思ったんですがやっぱり「放射線」の話に関してはどんどん「解っている人」と「なんだかわかんないからとにかくこわい」というひとの乖離がひどくなっていると思う今日この頃です。そこの溝を埋めるためにはわたしは「知ること」ってとても大事だとおもうんですけど、難しいからやだ!(と言いたくないので)「キケンなものは全て排除だ」になってしまうんだろうなあ。 でもこの本、私みたいなトリ頭でも読めるほどやさしいので、是非読んでほしいです。わからないこわいが、わかったら少し怖くなくなると思う。
なによりわたしは周期表の意味がわかった(いままではただ見ているだけだった)のが凄い収穫でした。0

誰だって正体のわからないものは不気味だし、本能的に「怖い」と思ってしまいますよね。
で、遠ざけて無関心を決めてそれ以上考えるのを止めてしまったり、
いたずらに恐怖を煽る情報を信じてもっと「怖い」を深めてしまったり。

私を含む多くの一般人にとって、東日本大震災の後に起こった原発事故の「放射線」を巡る状況なんて正にそう。
いろんな情報が溢れている中で「それが、そもそもどういうものなのか」というシンプルなことが解っていないと、
混乱するばかりで、建設的な話になりようがありません。

この本は、その一番基礎になる部分を、ほんとうに解り易く解説してくれています。

小峰さんの質問に「そうそう!それを聞きたかった!」って膝を打ちつつ読み進めて行くと、
いつの間にか「預託実効線量」なんて言葉の概念も理解出来てしまいますよ。0

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本)

アマゾンで購入する
筑摩書房から発売された菊池 誠のいちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本)(JAN:9784480860798)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.