丸山眞男の時代 大学・知識人・ジャーナリズム 中公新書 の感想

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タイトル丸山眞男の時代 大学・知識人・ジャーナリズム 中公新書
発売日2014-07-11
製作者竹内洋
販売元中央公論新社
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購入者の感想

最初に断わっておくと、この本はタイトルに丸山眞男とあるが彼だけについて論じた本ではな
い。もちろん彼について論じる箇所も多いが、それ以上に彼の立場を通して戦中、戦後の日本
の論壇や知識人のあり様、彼が糾弾されることとなる東大全共闘、さらにはブルデューを援用
してのジャーナリズム、経済、権力とアカデミズムの関係性の変容にまで話がおよでいるのだ。

丸山について書いた本といえばそう言えるのだが、ではそれだけなのかといわれると、うなず
きがたい。それが本書の不思議なところだ。というのもこの本、特に前半部分では戦前の助手
時代の丸山に負の方向から影響を与えた狂信的な右翼の思想家、蓑田胸喜をめぐる記述にも割
かれているのだ。東大知識人への攻撃に対する彼の異常なまでの執着には、思想的内容にかか
わらず、人物像として魅力的にさえ感じてしまうところもある。

このような不思議な体裁になったのも著者が「あとがき」であかしているように、この本の執
筆がそもそも、6月に休刊となる『諸君!』の編集部からの「蓑田胸喜論」を書いてくれとい
う原稿依頼がきっかけだったからなのだろう。それが回りまわって、本書のような「丸山と蓑
田」という水と油であり、かつ語るには切っても切り離せない関係をめぐる構成になったのだ。

その点、この本ではあまり丸山の思想内容に焦点を置かれてはいない。この本はアカデミズム
に固執するのでもなく、かといってジャーナリズムに迎合するでもない言論界の浮遊点として
独特の位置取りをし続けた知識人、丸山眞男という人物の思想的位置づけをめぐる書だ。

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