青蛙堂鬼談 - 岡本綺堂読物集二 (中公文庫) の感想

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タイトル青蛙堂鬼談 - 岡本綺堂読物集二 (中公文庫)
発売日2012-10-23
製作者岡本 綺堂
販売元中央公論新社
JANコード9784122057104
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購入者の感想

  この方の書かれた別のシリーズの方には耳馴染みがありましたが、こちらの方は全く知らず購読しました。  結果、想像以上に奇々怪々な話が興味深く、旧仮名遣いの入った独特の文章と話を楽しめました。
「第〇の男(or女)は語る」という切り口で、滔々と異国や話し手の過去にまつわる話が語られます。  怖さはさほどでもないのですが、独特な不気味さが漂っています。  特に「蟹」とか「一本足の女」とか。  他にも、「猿の眼」も妙な薄気味悪さがあっていいですし、「兄妹の魂」も別の視点から楽しませてもらいました。  
個人的には青蛙神のことがひっかかり後書きの方に目を通してみると、なるほどと思えるようなことが載っていました。  神々や悪鬼のような存在も、時代と共に消えていく場合もあれば、ひょんなことから再び光が当てられることもあるのだなと。  そう感じた一冊です。
欲を言えばもう少し付け足しをしてほしいと思うようなお話もいくつかあったので、そこらへんは人それぞれ感想と評価が変わるのではないかと思います。
巻末附録として「梟娘の話」と「小夜の中山夜啼石」の二つが収録されています。  各話の元ネタや先のことをあれこれ想像して読むのもいいですが、著者様の流れるような文章に浸りながら読み進めるのも悪くないと思います。

百物語形式の怪談集「青蛙堂鬼談」の十二篇に『梟娘の話』『小夜の中山夜啼石』の二篇を加えた構成です。
収録されている話は、中国の明代、江戸期、明治・大正期、古い伝承話などさまざまな時代のもので、その内容も、復讐譚、異形の者や動物あるいは物にまつわる因縁話等々、多岐にわたっています。
『猿の目』は、猿の面が引き起こす怪異も怖いのですが、正体不明の親子の方が不気味に感じられます。
『清水の井』は、最後に判明する真相のなまめかしさが印象的で、秘密の快楽(けらく)という妖しい語られなかった部分に興味が行ってしまいます。
『蟹』は、不条理な感を強く受ける話で、蟹と少年と次々に起こる事件との因果関係や理由が最後までわかりません。
『一本足の女』も、語られなかった部分(主人公の男と女のやりとりや女の正体と前歴について)が、読後に気になった話でした。
各話ともに作者の語り口もあってか、怖いとともに何か懐かしく、ゆったりとその世界に浸ることができました。

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