これまでのあらすじ

『母の死、それはたった一人の家族の喪失。』
この物語は 恋愛 です
4 件の感想が投稿されています
著者
投稿
読者
評価
分岐
空ノ寂
17.10.31
321
2
1
お坊さんが、よく響く声でお経を読む。
ポクポクと、木魚のテンポの良い音が鳴っている。
後ろで親戚のお姉さんが泣いている。

そのどれもが私には、何もこの世に意味を成さない様な只の雑音にしか聞こえなかった。

お母さんが過労で倒れたのが一週間前で、心配いらないと言われて退院したのが五日前。容態が急変して救急車を呼ばれたのが三日前で、息を引き取ったのが……二日前。
何だろう。この1週間が実は10年間でしたなんて言われても、今なら信じられる気がする。

「奈緒ちゃん、可哀想に……。ずっとお母さんと二人暮らしだったんでしょう?まだ奈緒ちゃんも高校生なのにねぇ。これからどうするの?一人暮らし?」
聞こえてきた声にハッと辺りを見回すと、もう座っている人はほとんどいない。いつの間にか終わっていたようだ。
同情するような目でこちらを見てくる見たことがあるおばさん(多分親戚なんだろうけど)に向かって私は無理やり愛想笑いを浮かべた。
「大丈夫ですよ、私を引き取ってくださる親戚の方がいらっしゃるので。お気遣い、ありがとうございます。」
「あら、そう?大変だろうけど、頑張ってね。」
心配そうな顔でそそくさと、彼女は他のおばさんの輪に入っていった。
はァ、っと息を吐く。疲れた。一人になりたい。
「あの子、お母さん亡くしたのに泣きもせずに笑顔作って。健気ねぇ〜」
なんて声がこちらまで届く。何だそれ。噂話なら、本人に直接話すか本人のいない所でこっそりとにしてくれ。

でも、本当に。
「寂しいよ、お母さん...」

続きを選択して下さい

筆者:ANTZ  読者:49  評価:0  分岐:1

物語の続きを書く

このストーリーの評価

ANTZ #0 - 17.11.01
面白い
すいません、言葉が足りなかったみたいです。
私は話にケチを付けるつもりがあって感想を書いたわけではありません。
寧ろ、自分に近しい人であればある程、こんな心情なんだよ、と言いたかったのです。
生老病死は人の四大苦悩ともされますし、次の分岐を書かれる方は、その辺を感じ取って参考にしていただければな、と思います。

ANTZ #0 - 17.10.31
面白い
「面白い」ではとても不謹慎な話なのですが……。
先日、家族が知っている若い人が不慮の事故に遭ってしまいました。
現場で遺体が発見されたものの、司法解剖が終わっておらずその人かどうかは判断できていないそうです。
親御さんは「気持ちの上ではまだ生きていて欲しいので、是非文化祭を予定通り行ってほしい」と仰ったそうで、その人の学校の文化祭が近く行われるそうです。
「人一人生死が分からないのにお祭りなんかしてていいの?」そういう意見もあるかと思いますが、子どもを持つ親としては、私は親御さんの気持ちを汲んであげたいと思いました。
きっとその人も文化祭を楽しみにしていた筈なので、生徒達もその仲間の事を想いながら恙無く行事を終わらせてくれるだろうと思います。
長文、失礼しました。
でも人の死は、あまり近しくはない私でさえも打ちのめしてしまうくらい、重いものだと誰かに伝えたかったのです。

物語の感想を書く

訪問有難うございます

リレー小説

みんなのコミュニティ

アーカイブス


» 過去ログ
空ノ寂 さんが投稿した リレー小説 「 母の死、それはたった一人の家族の喪失。 」お坊さんが、よく響く声でお経を読む。ポクポクと、木魚のテンポの良い音が鳴っている。後ろで親戚のお姉さんが泣いている。そのどれもが私には、何もこの世に意味を成さない様…
2017 - copyright© みんこみゅ - リレー小説 all rights reserved.