これまでのあらすじ
『死相』
私は、寝てしまっていた。不思議な夢を見ていた。何処だろう、此処は、、、。樹海だろうか、物静かで、ただ何処までも広がるだけの深く薄暗い緑色が、私を「帰れなくなるのではないか」と言う不安でいっぱいにした。私は辺りを見回し、ため息を吐いていた。寂しい。こんな所に1人なのは精神的に辛かった。何か悲しくなってきてしまった。私は想像以上の周りの雰囲気の不気味さに、重たく冷たい空気の気持ち悪さに、啜り泣きしかけだった。すると、それに対して追い打ちをかけるかの様に何処からともなく薄気味悪い叫び声が聞こえてきた。私は、その声に対するとんでもない恐怖感に、居ても立っても居られなくなり、とうとう走り出してしまったのだ。案の定何者かが後ろから奇声を発して追いかけてきた。私は涙を流しながら無我夢中で走った。しかし、此処は樹海。方向感覚はすぐに役に立たなくなった。同じ様な景色ばかりなのだ。地面だって悪い。自分がどんな風に進んでいるのかも分からず、似た様な景色がひたすら続く樹木の海を、私はひたすら不安定に走り続けた。すると、あろう事か霧がでてきた。私は平行感覚がなくなって、よろよろになったまま、霧に目を隠され、ついに転倒してしまった。足音が近づいてくる。私は足を引きずりながら逃げようとしていた。転倒した時に捻挫したのか、私の足は、まともに言う事を聞かない。足音はもう数メートル前まで迫っていた。霧が濃すぎてどんな奴か見えない。此奴は、私の匂いでも嗅ぎながらつけてきたのだろうか。もう逃げる事は出来ない。やりたい事はまだ沢山ある。それなのに、もうそれができなくなる。そんな事を考えながら目を閉じた、、、、、、、、。
目が覚めたのはその時だった。
私の顔は、起きた時には既に涙でぐしょぐしょだった。
あの夢は、きっと私がある事から「逃げたい」と言う気持ちの表れだったのだろう。
そうだ。私は、私の母が、死相を視ているのではなく、「人を念で殺せる」と言う事実から逃れたかったのだ。
目が覚めたのはその時だった。
私の顔は、起きた時には既に涙でぐしょぐしょだった。
あの夢は、きっと私がある事から「逃げたい」と言う気持ちの表れだったのだろう。
そうだ。私は、私の母が、死相を視ているのではなく、「人を念で殺せる」と言う事実から逃れたかったのだ。