いいところをついている

著者の新崎隆子氏恐るべし、
といったところか。

一般向けニュースのCNNやBloomberg、
また英語ドラマ、

また米国大学院での英語にウェイトがおかれた専攻・講義等（文学・法学など）が100%理解できたとしても、

そもそもそれらは視聴者、
聞き手を意識した発話である。
スクリプトは推敲された上で読まれている。

ビジネスシーン、
あるいはEnglish native友人との会話においても、
話題の共通性がある点で内容を事前に予測できるため、

聴き取りは楽である。


ここまではある程度の努力で到達できる。

ここから先が問題なのである。
人並みならぬ努力を要するところである。


本書は「ほかの人たちが交わす会話」を聞き取る、
つまりふと耳に入ってくる会話の理解を目指すものである。

したがって発話者が目の前におらず、
音響的な障害や周囲のノイズ、
騒音がある中での聴き取りを目指している。

また、
non native同士の会話の又聞きや子供の発話も、
発話者が聞き手を意識せず言葉を発している点で似ている。

これらを意識させる点で本書は有用であり、
また新崎氏をはじめ第一線の通訳者のレベルを思い知ることのできる、

自己を謙虚にさせてくれる本でもある。