いつでもおおかみこどもの世界に還れる一冊

厚さ約2.5センチにもおよぶ本書は見た目からしてインパクト大です。

一冊の立派な図鑑といっても過言ではないと思います。


表紙には銀色の箔押しで彩られた「おおかみこどもの雨と雪　ARTBOOK」の文字が躍り、

本を開く前から読者の興味・関心をかき立ててくれます。


内容に関してですが、
とにかく「すごい」「圧巻」の一言に尽きます。

特に、
これでもかと収録されている美術集・美術設定・原画集・レイアウト集はファン必見です。


本書中、
カラーページとモノクロページは大体半々の比率といったところでしょうか。

キャラクターデザイン＆色彩設計についてのページや、
デジタル画像処理について丁寧に解説されたページはカラーで、

インタビューや鼎談ページはモノクロで綴られており、
こういった部分でも読者に対する細やかな気遣いと、

雰囲気作りへのこだわりを感じ取ることができました。


個人的には、
花たちが暮らした家の納屋を俯瞰（※）したカラーイラストが掲載されていたことが嬉しかったです。

（※真上から見下ろした状態の図。
納屋のどこに何があるかが、
細部に至るまで事細かに描かれています。
）
あの納屋のあそこにはこんなものが置かれていたのか！など、
発見と驚きの連続でした。


まさか花が運転する車内から見える外の景色に関してまで収録・解説されているとは思わず、

こちらに関しても非常に嬉しい収録内容のひとつでした。


この一冊で、
あの日観た「おおかみこどもの雨と雪」の感動が一瞬にして色鮮やかに甦ります。

そしていつでも、
好きなだけおおかみこどもの世界に還ることができる一冊です。

個人的に、
お値段の何倍もの価値がある、
制作関係者の皆さんの愛と思い入れがぎっしり詰まった一冊だと感じました。

それくらい密度の濃い収録内容になっています。


末筆の余談となり恐縮ですが……
私は本書もさることながら、
この映画作品に出合うことができて本当に良かったと、
心からそう思います。

細田