しっとりと情感あふれる歌声が胸に染みる・・・作風も広がりバラエティに富んだ1枚

長年，東海エリアのクラブを中心に活動を続けてきた女性シンガー・ソングライター，Ms. Ooja。
メジャー・デビューを果たすまでは長い年月がかかりましたが，メジャーで早や5年，そして本作で5枚目のオリジナル・アルバムと順調です。

冒頭から軽快なギター・サウンドのロックぽいアップテンポが2曲。
「あれ，作風変わったのかな？」とも思いましたが，その心配は無用。
しっとりとした情感あふれる歌声も美しいメロディーも健在です。

ちなみに冒頭の2曲では，個人的には「Footprint」が好きですね。
爽快な中にも感傷的な雰囲気があって，ピュアなメロディーとひたむきな歌詞を伸びやかに歌い上げるサビが印象的です。

さて，Ms.Oojaらしいナンバーにして，秀逸は・・・というと，後半の「サイレントティアーズ」「Lovin’ You」「あなたに会えなくなる日まで」の3連続バラードでしょうか。
叶うことのない恋愛を歌い上げた美しくも物悲しいメロディーの「サイレントティアーズ」。
しっとりと情感あふれる歌声が胸を打ちます。
後半の泣きのギター・ソロもイイです。
感涙もののナンバーです。
対照的に「Lovin’ You」は，ささやかな幸せを内省的に歌い上げたバラード。
たどたどしいピアノもポツリポツリと言葉を吐き出す歌もやさしすぎて心が震えます。
そして，「あなたに会えなくなる日まで」は，母親への感謝の歌。
子どもの頃は反発することもあったけど，いつも傍で支えてくれた肉親のありがたさに気づき，精一杯の感謝を包み込むような伸びやかで優しい歌声で歌い上げています。
ストリングスも交えた起伏に富んだサウンドも美しく胸に染みます。

前半では，シングル曲でもある「花」。
つらい過去を乗り越えてポジティブに生きていこうとする前向きな歌詞と，情感あふれる伸びやかな歌声，ピアノで始まり，ストリングスも交えて盛り上がるサウンドが織り成す心温まるバラードです。

中盤は，「My Darling」。
こちらはお洒落でメロウなアップテンポ。
ロマンティックな都会の夜景をバックに，軽快なギター・リフで軽やかにステップしながら・・・そんな華やかなナンバーです。
アップテンポなら「ここにいるわ」もイイですね。
流れるようなピアノで爽やかに駆け抜けていきます。