侍者による、道元の肉声の記録集

.
道元自身の仏道を心身脱落した立場から詳説したものが「正法眼蔵」であるとすれば、


本随聞記は「悟り」に至る迄の修行上の用心や、
修行生活の留意点を具体的な事例で

分かり易く平語で語った、
まことに得難い記録集である。


道元は、
本書の中で 僧が 「 修行 」 する心得について次のように説いている。


「 いはゆる出家といふは、
第一 吾我名利を離るべきなり。


　只､身心を仏法になげすてて、
更に得道得法までをも望むことなく修行するを以て、


　是を不汚染の行人とは云なり 」

道元の仏道修行に対する純粋かつ峻厳な姿勢が窺われる言葉であると思う。


本書は、
１回読んで 「 読了 」 として放下すべき本ではない。


折に触れて座右の書架から取り出して味読すべき、
数少ない書であり、


貴重な道元の肉声である。