真髄

松沢まり「最近、
妹のようすがちょっとおかしいんだが。
」8巻。


元来の松沢まり作品らしさ、
が戻って来た。
という印象
それはまったり出来る空気感だったりしみじみ出来る物語だったり、
優しい作中観だったり・・・
過度なサービス描写は相当に息を潜めて純粋に親子愛、
兄妹愛を堪能出来る仕上がりになっていて
その意味じゃ回帰とも形容出来るし真髄とも形容出来ると思う　今までの作品群とは随分毛色の違う作品として始まった本作だが
ここまで来てみれば実に誠実な、
松沢まり作品らしい作品に収まった、
というのが個人的な印象だった。


便利な設定として多用されている「親が海外転勤に~」というトピックですら作中の感動を煽るツールに変えていたり、

今までずっと「家族団欒」とは乏しい生活を散々してたからこそみんなで過ごすお正月に価値が生まれる
そこでの多幸感や、
夕哉の誠実さを知ったからこそ苦手だった彼の男親に少しは関わろうとしてくれる
美月の心的な成長も垣間見れたりして兎角読んでて気分が良い8巻目だった

全体的にストーリーを進めるのが目的だと思える新刊の為
今までのようなサービス精神旺盛なカットこそ激減しているが、

その代わりに色々な設定が明かされつつあって今後の展開を想像するのも面白い一冊
「妹ちょ。
」のセンシティブな部分、
温かくて素朴な部分が際立っているこれはこれで「らしい」一冊かと
松沢まりさんの作品作りに於ける誠実さや生真面目さが垣間見れる新刊なので是非ここまで読んでもらいたい、
と思い。

美月の尋常じゃない可愛さも健在、
なのでラブコメ的なドキドキを補填する意味合いでも最適な作品。


日和の本当の願い、
そして美月の本当の願い・・・。
加速度を上げて進行しているので恐らくはクライマックスは近い
その分ワクワク度も高く素直に続巻も楽しみ。