大人気漫画の皮を被った、二十一世紀のチャンバラムービー

２０１２年　多くの観客の例に漏れず、
るろ剣の実写映画と期待して観に行った。

開始五分で「これはチャンバラ映画ではないか！」と悟る。


日本映画の黄金期。
その中心はチャンバラ映画であった。
最初に国際的に認められたのもチャンバラ映画であり、
ルーカスやタランティーノなど多くの映画監督に影響を与えた。

しかし、
時代劇はリアル大作指向、
やくざ映画、
文化系時代劇に移り変わり、
剣戟煌めくチャンバラ映画は死に絶えた。

筈だった。


香港カンフー映画のごとき体術と三次元的な動きを取り込み、
映像技術の進歩は高速剣の演出も可能になった。

しかし大きな看板が無ければチャンバラ映画など作れるご時世ではない。

『るろうに剣心』はチャンバラ映画を作る、
まさにうってつけの作品であった。


一つだけ、
この映画を楽しむために邪魔なものがある。

それは行き過ぎた原作至上主義。

配役のイメージが合わない、
などと言う理由でマイナス評価を付けるのはいかにも勿体無い。

そもそも日本漫画の実写映画化において原作イメージの踏襲はほぼ不可能に近いので、
端から評価項目に入れないのが正しい。
第一、
原作者をしてアメコミヒーローやらエヴァやらからネタを引っ張っていたのに、
どうやってイメージ通りに実写化しろっての。


いいんじゃない、
痛快娯楽時代劇で。

新作は更に凄い方向に突き抜けていて、
また原作至上主義者の怒りを買いそうだが、
面白いので可。