残酷で汚らわしくも美しい物語

戦闘システムの主人公の攻撃の当たり範囲が極端に狭いのに対して敵の攻撃範囲は広く、
その上敵は無限にワラワラと湧くのがかなり厄介です。

説明書にあるように無理して戦わず逃げるのが基本ですが、
その割に強制戦闘もあったりでイライラすることも…。

ただ、
パートナーの犬のブラウンとの探索パートと敵が出現する戦闘パートがわかりやすく分かれているので手間はかかりますが、
敵の出ない探索パート中に回復アイテムを集めておけば面倒な戦闘パートも割りとすんなりと進められると思います。


マイナス面が目についてしまいがちでしたがストーリーに音楽、
グラフィックは良く作り込まれています。

本筋のストーリーは好みが分かれてしまいそうですが、
子供特有の無垢故の残酷さが描かれていてこのゲームだけの独特の雰囲気を上手く醸し出していると思います。

一見可愛らしく見える子供たちが善悪の判断に捉われず残酷な行為をしたり、
クスクスと人を笑ったり陰口を叩いたりしているのは他のゲームで味わえないゾクリとしたリアルな怖さを感じることができました。

ゲーム中に明確に語られず匂わせる程度の部分も多いので、
色んな解釈ができるのも面白いです。


音楽はピアノや弦楽器の美しい旋律が物悲しいストーリーにぴったりで、
特にテーマ曲のA love suicideは大人なシャンソンの曲でED後もゲームの余韻に浸れます。

グラフィック、
特にムービーシーンでは絶妙な光の当たり具合や人物の表情、
肉感や服の質感などリアルで魅入ってしまう程綺麗です。


ゲームシステムに粗が目立ち気になる部分も多々ありましたが、
クリアした後に不思議と心に残るゲームでした。


とにかくゲーム性重視、
明るく楽しいストーリー、
アクションに爽快感などを求めてる方にオススメできるゲームではありません。

残酷な童話やお伽話など大人向けでダーク且つ悲しい物語に興味がある方にオススメです。