最初から最後まで読み通したい。

緩和医療に関する本は、
疼痛緩和に特化した症状横断的なものや色々載っているけどやたら分厚い、
もしくは一通り載っているけどエッセンスのみ、
といった多少使い勝手の悪いテキストが多いように思います。

その点では、
このテキストは緩和ケアの必要な知識についてもらさず、
尚且つ実践的内容になっており、
緩和医療に携わる（また進行がん治療に携わる）医療従事者は全編読み通したい内容となっています。

個人的な要望を言えば、
もう少しオンコロジーエマージェンシーの記述を充実させて欲しかったこと（SVC症候群など）と、
脊髄圧迫（脊椎転移）や骨転移は放射線治療の重要性を強調すべきでしょう。

薬物治療については良く記載されていますが、
緩和医療分野での放射線治療の有用性についてはあまり言及がなく残念です（除痛だけでなく、
腫瘍出血などにも有効なのですが）。

また、
ステロイドの項で、
ステロイドの種類が記載されず用量のみの記載になっていました。
著者はデキサメタゾンやベタメタゾンを念頭に置いていると思いますが、
誤解を招くかもしれませんので次の版からは修正・追記された方がよいかと思います。