110種類のトピックスでイタリアを知る

ひとつひとつはそれほど長くはありませんが、
最後まで集中力を保って聞けるちょうど良い長さになっています。
歴史や地理、
習慣や文化など様々な角度から、
イタリアという国やイタリア人とはいかなるものかを垣間見ることができます。
新聞やテレビでは分からないトリビア的な話題もあります。
CD付き会話本は数あれど、
まとまった文章の音声、
スクリプト、
対訳の三拍子揃った教材は今までになかったのではないでしょうか。
リスニングだけでなく音読、
シャドーウィング、
ディクテーション、
和訳など、
目的に応じて使えるので、
独習者にとってなくてはならないテキストになると思います。


ただ、
出版社のコメントについては疑問が残ります。
このCDが聴き取れたからといってイタリア人同士の会話が理解できるというのは早計です。
この教材用CDは他のテキストと比較すれば"ナチュラルスピード"かもしれませんが、
日本人に理解させることが大前提に原稿を読んでいるだけだからです。
吹込み者がひとりだけというのも十分ではないと思います。
最低でも女性の声での吹込みがあってしかるべきですが、
リスニング本というならば、
世代や地域の異なる人の吹込みがあって当然かと。
そうすれば学習者の耳はもっと喜びます。


イタリア人同士の会話を理解するためのテキストという宣伝文句をつけるなら、
日常会話を切り取った音声や、
ラジオの音声にスクリプト、
対訳をつけたものであって欲しいです。


しかしながら、
対訳部分はイタリアについての短いエッセイを読んでいるようなので、
それだけでも楽しめるようになっています。
リスニング体得トレーニングという名前ではありますが、
学ぶことが多いテキストだと思います。