「日本版NSC」についての理解が深まる好著

　第二次阿倍政権のもとで発足した「国家安全保障会議（National Security Council＝NSC）」。
これに伴って制定された「特定秘密保護法」の是非も、
知る権利との関係で、
大きな議論となりました。

　本書は、
NSCの本家本元のアメリカのNSCの歴史的経緯や運用方法を解説するとともに、
日本のNSC設置に向けた流れをたどっています。


　私は、
恥ずかしいことに、
NSCに関して「単なる会議？」と感じており、
「NSCにどんな効果が？」と思っていただけに、
この本を読んでNSCの果たす役割や国家行政組織上の位置づけがよく理解できました。

　また、
NSCにおけるSA（セキュリティー・アドバイザー）の役割が極めて重要であることも理解できました。


　日本では、
新たに設置されたNSCですが、
本書を読むと、
(a) NSCはSAはじめ職員の資質に大きく左右されること、
(b) NSCの権限や果たす役割は本家のアメリカでも大きく変遷してきたこと、
がよくわかります。

　その意味で、
「NSC設置で終わり」ではなく、
「NSCは継続してフォローする必要がある」と考えられる組織です。
私たち国民一人ひとりがNSCの活動やその成果、
特定秘密保護法の運用状況などをフォローする必要があります。

　本書は、
以上のようなさまざまな示唆を与えてくれる貴重な本です。
お薦めします。