革命のリベリオン: 第I部 いつわりの世界 (新潮文庫) の感想

DNAによる選民システムと，それにより生まれた格差と差別，腐敗していく国家をはじめ，
立ち上がる貧困層の少年に，今の世の中への疑問を抱き，彼に引かれる富裕層の少女など，
多くの設定，キャラクタから物語まで，いろいろと既視感が強いというのが率直な印象です．

ただ，その分，安定しているのは確かで，頻繁な場面転換には少しばかり戸惑いますが，
徐々にそれがテンポの良さとなり，400ページを超えるボリュームも負担には感じません．
また，メインとなる少年たちとは別に，いくつかの思惑や人たちも並行して描かれており，
これが続刊でどのように絡まり，収束していくのか，このあたりはやはり気にさせられます．

なお，巻末には第II部（15年春予定）の序章を掲載，半年後を描く数ページは予告のようで，
少年は新時代の光となり得るのか，願わくば新しい要素も織り込み，広げていってほしいです．