東洋の至宝を世界に売った美術商: ハウス・オブ・ヤマナカ (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル東洋の至宝を世界に売った美術商: ハウス・オブ・ヤマナカ (新潮文庫)
発売日2013-08-28
製作者朽木 ゆり子
販売元新潮社
JANコード9784101278919
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

「山中商会(ハウス・オブ・ヤマナカ)」については、近年少しずつ情報が入ってきて、関心を持っていました。朽木ゆり子さんの著作が文庫になったこともあり、今回手に取り読了出来ました。
ニューヨーク店の外観は口絵にもあり、内部の写真は197pに掲載してありますが、豪華な設えなのが見て取れます。

口絵にもありますが、メトロポリタン美術館が所蔵している琳派の「渓流花木図屏風(作者不明)」が山中商会を通して、美術館に収まる変遷が興味深いですね。パリのオークションで山中が競り勝ち、その代金に困る山中を助けたのが収集家フリーアだったのを本書で知りました。

美術好きには高名なフリーア美術館(フリーアの略歴は142pにあります)やロックフェラーなどの愛好家の話も随所に記されています。個々の作品の流転への興味あり、来歴をたどると多くのコレクターの思いがそこに詰まっているようでした。有名な俵屋宗達の「松島図屏風」が、1906年10月に5000ドルで購入されたことが記されています。今では考えられない購入価格です。ドルのレートの変化を元に、現在の相場として換算しても信じられません。「文殊菩薩像」も同様です。国宝級の文化財の価値を当時の日本は分からなかったのですね。西本願寺の売り建てもまた悲しい現実でした。日本の美術愛好家であり大蒐集家のコレクションの売り建ても記されてあり、美術品の売買の中身も本書で知ることができます。

日本の美術品の流出は悲しい出来事ですが、世界の人が日本美術の素晴らしさを知る切っ掛けになり、文化財保護の機運が生まれる契機になるわけですから、それも運命と理解しています。

第2章で詳しく語られていますが、アメリカの美術ブームは相当なもので、いかに日本美術工芸品が珍重され、愛好されたかが書かれていました。フィラデルフィア万博がその契機になったようでし、68p以降に記されています。アメリカでの競売システムや売買の流れも知ることになります。

山中商会が残した便箋、領収書などから店の変遷をたどるなど、相当地道な取材の成果が伺えました。

本としては、論拠やエピソードに面白みがなく話として書き上げた方がよいのでは?

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