最後の努力──ローマ人の物語[電子版]XIII の感想

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タイトル最後の努力──ローマ人の物語[電子版]XIII
発売日2015-03-20
製作者塩野 七生
販売元新潮社
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カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

5世紀、蛮族の度重なる侵入と劫掠により弱体化した西ローマ帝国がオドアケルに滅ぼされ、以後のヨーロッパはルネッサンスまでの長い「中世の秋」を迎えることになる・・・
ローマ史の知識皆無だった私には、古代から中世への過渡についてはそんなイメージしか無かったのですが、この巻を読んで認識を改めさせられました。
ローマ帝国が滅亡したことにより古代の文明・文化が滅びたわけではなく、ローマ帝国が「中世化」することにより、古代の優れた知識や技術、精神が徐々に失われていった・・・。
歴史を知る人には自明のことなのかも知れませんが、私にとっては新鮮な認識でした。
この事実を如実に表しているのが、他の方も言ってるとおり、凱旋門のレリーフです。
ギリシャ・ローマの彫刻と言えば、人間の肉体や感情を豊かに表現したもの・・・とイメージを持っているのですが、図版で詳細に示されたそのレリーフに描かれているのは、まさに「中世」的な・・・稚拙としか言いようのない、精神の宿らない形だけのものです。このレリーフの写真、「百聞は一見に如かず」です。
「ローマは敗者さえも自分たちに同化させることで栄えた」というのが、塩野さんのローマ史の基本にありますが、この巻のローマは、決定的に「ローマらしさ」を失ってしまいます。同化させるべき「ローマらしさ」が無くなれば、その版土を守れるのは強大な軍事力だけ、ということになるし、帝国の一体性を維持するには神権に基づく絶対独裁だけ、ということになるのも当然なのかも知れません。
この後の衰亡史においては、辛うじて個々人の中に残る「ローマらしさ」が滅びの中で美しくも哀しく花開く、というシーンが多くなっていくような気がします。。。

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