深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者沢木 耕太郎
販売元新潮社
JANコード9784101235080
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » 日本文学

購入者の感想

私もこの本から大きな影響を受けた一人です。この本を読んだ後、沢木氏がこの旅をした26-27歳位迄に何度も海外一人旅をしました。この本には確かに特有の自意識の過剰さがありますが、それも彼の当時の若さゆえのところが大きいです。私は彼とは違いサラリーマンを続けてしまっていますが(沢木氏は3日?で会社勤めをやめた)、若いころの自分をこの本に投影できるような気がして、今でも時々読み返します。とにかく一度は読もう。お勧めです。

 第4巻から、本題のロンドンを目指しバスを乗り継ぐ旅がスタート。ようやくインドを抜け、パキスタンからイスラム圏に入り、沢木は前に進むことの快感を覚え、旅の加速度を増していく。今は決して入れないアフガニスタン・カブールで滞在した後は、知人がイランの首都テヘランにいることを知り、飯をおごってもらうため無我夢中で先を急いだりと、せわしなくシルクロードを抜けていく。

 アフガンに行ったことのある人の写真を見たことがある。自然は荒削りなままに美しく、人々もまた、険しさの中に優しさを湛えているような表情をしている人が多かった。沢木はカブールでホテルの客引きをやることになるが、それを命じたホテルの若きマネージャーは、貧乏旅行する旅人に対して辛辣な言葉を放つ一方どこか抜けてて憎めない感じで、自分のイメージしてたアフガン人と合ってて面白かった。

 第4巻から本当の意味で旅が始まったからなのか、旅そのものの加速度が増したからなのか、沢木はヒッピーたちとの別れや、『ペルシャ逸話集』から旅の終わりの先にある「真っ当な生活」に思いを馳せていたり、孤独を噛み締めるような描写が目立ってくる。From Youth To Death=「青春発墓場行」とか、「グッド・ラック」とか「ハロー・グッドバイ」とか、出会いと別れを繰り返す旅路の中に、センチメンタルな響きを持った言葉が登場し始める。

 それにしても。オバマはアフガンの治安維持のため増派を決めたものの、パキスタン情勢の悪化も相まって前途は多難。イランも大統領選後に混乱があったし、旅人がこれら国々に再び安全に入れるようになるのはいつのことになるんだろう……。0

旅に危険はつきものですが、政治情勢が不安定な国の旅は現在では難しくなりました。この「深夜特急」の第4作は、情報の少ない国々の魅力がダイレクトに伝わってきました。たとえそれが30年前の姿であったにせよ、バックパッカーにとって本書はバイブルのような存在でしょうから。

インドのアムリトサルからパキスタンのラホール、そしてラワール・ピンディーへ向かう長距離バスの荒っぽい運転は日本では考えられない凄まじさでした。理解を超える状態を体験するから旅の醍醐味を味わえるのでしょうが。
アフガニスタンへの旅も今では大変難しいルートになっています。ペシャワールからカイバル峠を越えてカブールそしてカンダハル、実に魅力的なルートですし、30年前の治安の良さを感じました。
カブールのアベズ・ホテルでの客引きの体験を通して、若者の生き方の違いを明確に示したわけで、生きることと旅の本質的な違いも浮き彫りにしたように感じました。

有名な建築家の磯崎新氏と彫刻家の宮脇愛子さんとの出会いもまた旅の触れ合いと人情の温かさを感じます。イランのテヘランでの街の魅力は、魅力的にかつ具体的に描かれています。「イランの京都」のイスファハンでのモスクの情景と祈りのシーンは印象的でした。挿入されているモハメッド・アリとジョージ・フォアマンの「世紀の一戦」をテレビ見たというシーンは、共有できる思い出でした。

イスファハンのバザールの老人との間で繰り広げられる時計売買のやり取りで感じる筆者の優しさと思いやりが、この長旅を筆者と一緒にたどる読者にとって清涼剤となっていることでしょう。

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新潮社から発売された沢木 耕太郎の深夜特急〈4〉シルクロード (新潮文庫)(JAN:9784101235080)の感想と評価
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