ハーバード・ビジネス・レビューBEST10論文―世界の経営者が愛読する の感想

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1960年から2006年の良質な論文を読む事が出来ます。進化/変化の早い経済学なので今読むと既に陳腐化している部分もあります。ただ、今流行りのばかりを追うと逆にベースの部分や流れが失われがちなので、歴史的な流れとしてこの本を読んでおく事は非常に有益だと思います。
p297にある「ほとんどの日本企業に戦略がない」の記述は、当時の2011年からあまり変わりが無いのは逆に残念です。

人選、内容については文句のない論文集だ。
しかし、実は元の “HBR’s 10 Must Read: THE ESSENTIALS” とは収録論文が異なっている。しかも、それについて一切の説明がない。

具体的には

２．
Thomas H. Davenport “Competing on Analytics”
↓
ブルー・オーシャン戦略：W・チャン・キム＋レネ・モボルニュ

４．
Daniel Goleman “What Makes a Leader?”
↓
マネージャーの仕事：ヘンリー・ミンツバーグ（1975年マッキンゼー賞受賞論文）

この点について、注意されたい。

それにしても、論文を追加するならまだしも、勝手に差し替えているのだから恐れ入る。
翻訳権が取れなかったなら、取れなかったなりに、なにか書くべきだろう。
(事実、Davenportの論文はそのままのタイトルで書籍まで至ったものが、日経BPから翻訳されている。また、EQで有名なGolemanも、日本において彼の1番売れた本は日経→講談社+α文庫という流れを辿っている。)
ドラッカーを売っている出版社が「真摯さ」に欠けているというのは皮肉ではないか。