「反日」中国の文明史 (ちくま新書) の感想

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タイトル「反日」中国の文明史 (ちくま新書)
発売日2014-07-18
製作者平野聡
販売元筑摩書房
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カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 国際政治情勢

購入者の感想

「現在の中共の政治体制は、もはやいかなる方向に向かうこともできない。中共自身にそれを本質的に変える力も発想も見られないため、今の矛盾を抱えたまま突っ走るか、あるいは危機管理に失敗して挫折するしかない」。

中国の歴史をたどりながら、この地域を支配した文明の理念の変遷について解説した本。基本的に中心となるイデオロギーの変化と歴史との関係について解説することが主眼となっているので、単に史実を並べた本とは語り口が異なっており、思想的な部分や、著者の解釈に負うところが大きい内容となっている。

「中国」という言葉は、本来、周囲と隔てられた城塞都市とその文明を指していたものだという。これが拡大発展し高い文化的水準を保つ地域をそれ以外と分ける「中華」「中原」「華夏」という言葉や、中華思想が広まってゆく。

しかし、このような中華思想は近代国家の定義とは異なっていた。特に日本は、主権国家と国際法を要とする近代国家の関係をアジアで真っ先に確立する。結果として、従来の中華思想を持つ清やその忠実な属国であり小中華思想を持つ朝鮮と相対することになり、うまく折り合いをつけていた琉球についても自国の一部であることを明確にしてゆく。

アヘン戦争、アロー戦争、英国による朝貢国ビルマの植民地化、フランスによる朝貢国ベトナムの植民地化、ロシアの南下、日清戦争など経験し、中国もいやおうなしに変化を迫られ、主に日本経由及び日本への留学生たちによってもたらされた近代国家思想を取り入れようとする。この西洋的な近代化の過程で、「中華」「中国」という言葉の定義が変質してゆく。元々朝貢関係は基本的に儀礼的な上下関係であったのに、内政と外交において権力を振るって支配し従わせる関係へと解釈が変わる。東トルキスタンもモンゴルもチベットも、朝貢関係は結んでいたものの「中国」「中華」に服従していたつもりはないのに、それらの地域も含めて「China=中国」となってしまう。つまり、清の時代までの国家構造は、近代中国とは実は異なる。

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