回想の野口晴哉 ちくま文庫(の-7-3) の感想

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参照データ

タイトル回想の野口晴哉 ちくま文庫(の-7-3)
発売日販売日未定
製作者野口 昭子
販売元筑摩書房
JANコード9784480421678
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

回想の野口晴哉          野口昭子       ちくま文庫

「野口整体」の創始者野口晴哉について、妻であり弟子である昭子氏が書いたものである。日本の健康法の中で、その流れを汲む人が非常に多い「野口整体」には、ずっと興味を持ってきた。しかし、極めて理論的でありながら、知的に理解しようとする者を拒むようなところを感じていた。独特の思想と論理に、なかなか入っていけなかったのである。
しかし、最も身近にいた人による伝記ならば、理解の助けになるのではないかと考えて購入した。そして、読んでよかったと思っている。
この本を読んで、野口氏には、通常の基準では理解できないようなところがあることが良くわかり、自分の印象が正しかったことを知った。
野口氏の本質は、霊能者のような資質が、極めて実証的な知性と共存していることである。
「僕は子供のときから自然に見えてしまうんだ。人の体でも、じっとみると、悪いところが黒く見える。」
悪い人を金縛りの術でやっつけてしまうこともできたが、それを習いたいという妻に、「みんなお互いに暗示し合って相手を金縛りにしている。ぼくのやって来たことは、どうやって解くかということだ。」と話している。
このエピソードなどは、優れた宗教家や禅僧でないと言えない言葉かもしれない。彼は「臨済録」をぼろぼろになるまで愛読した。
8冊目を持っていたと昭子氏が書いているが、なるほどと思えることである。
野口氏には、親しい人が遠くで死んだときに、それを知ったというエピソードが多い。「人間というのは、意識以前の世界では、みんな一つなのだよ。」この言葉は、集合的無意識を考えたユングに通じるように思える。
人間の病気や怪我の治療を続けた野口氏は、ユングよりも遥かに現実的である。治るかどうかを原点としているからである。
なお、野口氏の子供たちは個性が強く、学習障害のように見えたこともあったようだが、氏の個性的な教え方で伸びている。このことも面白いエピソードである。
「弘法は六十二で死んだが、僕は六十五かな」と言った野口は、この世界でやるべき仕事を終えたかのように、忽然と世を去る。

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