人類5万年 文明の興亡(上): なせ西洋が世界を支配しているのか (単行本) の感想

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タイトル人類5万年 文明の興亡(上): なせ西洋が世界を支配しているのか (単行本)
発売日販売日未定
製作者イアン モリス
販売元筑摩書房
JANコード9784480861276
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般

購入者の感想

本書は副題にあるとおりなぜ西洋が世界を支配しているのか、という疑問点から出発し、考古学的視点から始まり東洋と西洋の歴史を詳細に辿り、未来までも展望する大作である。

本書でユニークなのは、著者が独自の指標〜社会的発展指数、すなわち「エネルギー獲得量」、「都市化」、「情報技術」、そして「戦争遂行力」を使って、紀元前の時代から東洋と西洋を対比しながら、時代ごとの西と東の発展度合いが視覚的に対比されて、とても理解しやすくなっている。

 特に本書の独自性が発揮されているのは、西洋史以上に東洋特に中国の歴史についての詳細な分析がなされている点である。武則天、玄宗帝、宗代の印刷機や水力の織物機、製鉄所、鄭和の航海、朱子学などなど、著者の造詣の深さが感じられる。
 残念ながら日本は、近代以前はほぼ中国と同列(というより中国の周辺国)で扱われているが、もともと社会発展指数が高かったために、急激な産業化を果たせたのだとしている。

結論的に言えば、東洋と西洋は、特にここ5000年は、過去似通って推移していることを本書は示している。
ここで、著者は幾つかの歴史上のIFを示す。
宗の時代に鉄鋼業が発展していた開封が女真族から守られていたら、また小さなテムジンが死んでいたら、さらにローマ帝国が生き延びて宗代と同じような産業革命が起きていたら~などなど。
しかし著者は、どのような歴史的偶然があったとしても、恐らくは今と大きな違いはないだろうと断じている。

最終章で、これから世界はどこへ向かうのか、興味深い考察がなされる。
一つは、アシモフの描いたSF「夜来たる」の世界である。
すなわち、ローマや宗代と同じ、今や新たな硬い天井に到達しつつあるとするものである。
その要因として、地球温暖化、化石燃料の枯渇、そして戦争の3つをあげる。
もう一つの未来は、カーツワイルの「特異点」である。
再生可能エネルギーや、食糧革命、ロボット工学による安価な労働力、ナノテクノロジーによる環境浄化など技術的特異点が進み、問題解決をしてさらなる高みへと進むとする。

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