死なないやつら (ブルーバックス) の感想
参照データ
タイトル | 死なないやつら (ブルーバックス) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 長沼 毅 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784062578448 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 生物・バイオテクノロジー » 遺伝子・分子生物学 |
購入者の感想
「死なないやつら」という刺激的な題名に惹かれて、購入しました・・・が、題名にあるような極限生物を扱っているのは全5章中の1章(第2章)のみ。全体的には、「生命とは何か」という大きな問いに対しての、筆者なりの考えをまとめた一冊となっています。
あとがきにもあるように、当初は「極限生物の博物学」もしくは「極限生物カタログ」といった内容を目指していたとのことですが、なかなか書くことができず、朝日カルチャーセンターでの講座内容をベースに書くことになったようです。
自分としては、極限生物がどのようにして極限状態でも生きているのか?というメカニズム的なことが詳細に説明されていることを期待していたので、ちょっと肩透かしな感じでした(そういったことも、少しは触れられています)。ただ、読んでみると面白い。要は、題名とのギャップが気になったものの、「生命とは何か」という壮大なテーマに対して、自分なりの論を展開しているので、読み物としては面白いのだな、と思いました。
これは好き嫌いになるかと思いますが、語られていることは、実験や観測、発見などで裏付けられたものというよりは、現在あるデータ、資料をもとにした、筆者の推論がほとんどだということ。ですので、「生命とはなにか」ということについて、何らかなの実証に裏付けられたものがほしいとなると、こらまた肩透かしになってしまうかもしれません。
個人的には、このような未知の対象が明確になる以前の、個人の仮説というのは面白いと感じるので、上記のとおり面白い本だと思いました。
タイトルとしては、内容を反映したものにしたほうが良いような気がしますが・・・。「生命学」の一端を垣間見るには良い本ではないでしょうか。
あとがきにもあるように、当初は「極限生物の博物学」もしくは「極限生物カタログ」といった内容を目指していたとのことですが、なかなか書くことができず、朝日カルチャーセンターでの講座内容をベースに書くことになったようです。
自分としては、極限生物がどのようにして極限状態でも生きているのか?というメカニズム的なことが詳細に説明されていることを期待していたので、ちょっと肩透かしな感じでした(そういったことも、少しは触れられています)。ただ、読んでみると面白い。要は、題名とのギャップが気になったものの、「生命とは何か」という壮大なテーマに対して、自分なりの論を展開しているので、読み物としては面白いのだな、と思いました。
これは好き嫌いになるかと思いますが、語られていることは、実験や観測、発見などで裏付けられたものというよりは、現在あるデータ、資料をもとにした、筆者の推論がほとんどだということ。ですので、「生命とはなにか」ということについて、何らかなの実証に裏付けられたものがほしいとなると、こらまた肩透かしになってしまうかもしれません。
個人的には、このような未知の対象が明確になる以前の、個人の仮説というのは面白いと感じるので、上記のとおり面白い本だと思いました。
タイトルとしては、内容を反映したものにしたほうが良いような気がしますが・・・。「生命学」の一端を垣間見るには良い本ではないでしょうか。
のだけれども、編集者にはもう少し著者の論考やまとめをサポートして欲しかった、惜しいと感じた。
著者自身が書いている様に、「生命とは何か」という問いは哲学と科学がクロスオーバーする問いで、
一般向けの新書で説明する為には、相当の論理力と比喩力が必要な問いのはずだが、著者自身、
整理がついていないのか、飛躍の多い比喩や尻切れトンボな話の展開が目立ち、話の回収ができてい
ない部分も、残念ながら目立つ。
「生命が偶然に発生する確率はとても低い。宝くじは宝くじでもとても当たる確率の低い宝くじなのだ。」
うんうんそうだよねと読み進むと、「根拠はないのだが、宇宙にある彗星の数、10の30乗分がその確率の
分母になるのではないか。」といきなり来る。
この辺りとてもSF的思考で、その飛躍の仕方はありなのだが、突然変異と自然選択説で成り立つ進化論と
同様、「学」には昇華できていないのを、仮説と称して飛躍に流れている印象だ。
シュレディンガーの生命に対する定義、「負のエントロピーを食って、構造と情報の秩序を保つシステム」は
見事な定義で、それに生物が生きる環境からの圧力と突然変異の視点を入れると、ダーウインの進化論に
なる、という話の流れは、読んでいてなるほどと思うのだが、「協調性のある遺伝子のほうが生き残りやすい
様なのです」には、同様に??だ。
それは遺伝子ではなくゲーム理論の分野であり、それこそ、その生命が置かれた環境条件しだいではないのか?
「情けは人の為ならず」はその生体がおかれた環境や他の生体との競争連関次第であり、遺伝子というよりは、
それこそ進化論の方ではないのか、と突っ込みたくなってしまう。
話の素材と切り口はとてもおもしろくてワクワクしながら読めるのだが、中途半端にまとめようとして失敗している感がその分強く出てしまっており、少し残念。
・・・・・・手軽な割に深目のテーマだが平易で面白いのでおススメ本なんですが、もう少し丁寧にまとめれば良いのに、惜しいなあと思うので、星はひとつ減らして☆3.5。
著者自身が書いている様に、「生命とは何か」という問いは哲学と科学がクロスオーバーする問いで、
一般向けの新書で説明する為には、相当の論理力と比喩力が必要な問いのはずだが、著者自身、
整理がついていないのか、飛躍の多い比喩や尻切れトンボな話の展開が目立ち、話の回収ができてい
ない部分も、残念ながら目立つ。
「生命が偶然に発生する確率はとても低い。宝くじは宝くじでもとても当たる確率の低い宝くじなのだ。」
うんうんそうだよねと読み進むと、「根拠はないのだが、宇宙にある彗星の数、10の30乗分がその確率の
分母になるのではないか。」といきなり来る。
この辺りとてもSF的思考で、その飛躍の仕方はありなのだが、突然変異と自然選択説で成り立つ進化論と
同様、「学」には昇華できていないのを、仮説と称して飛躍に流れている印象だ。
シュレディンガーの生命に対する定義、「負のエントロピーを食って、構造と情報の秩序を保つシステム」は
見事な定義で、それに生物が生きる環境からの圧力と突然変異の視点を入れると、ダーウインの進化論に
なる、という話の流れは、読んでいてなるほどと思うのだが、「協調性のある遺伝子のほうが生き残りやすい
様なのです」には、同様に??だ。
それは遺伝子ではなくゲーム理論の分野であり、それこそ、その生命が置かれた環境条件しだいではないのか?
「情けは人の為ならず」はその生体がおかれた環境や他の生体との競争連関次第であり、遺伝子というよりは、
それこそ進化論の方ではないのか、と突っ込みたくなってしまう。
話の素材と切り口はとてもおもしろくてワクワクしながら読めるのだが、中途半端にまとめようとして失敗している感がその分強く出てしまっており、少し残念。
・・・・・・手軽な割に深目のテーマだが平易で面白いのでおススメ本なんですが、もう少し丁寧にまとめれば良いのに、惜しいなあと思うので、星はひとつ減らして☆3.5。