患者トラブルを解決する「技術」 の感想

私は歯科医師で開業しております。

医療は患者と対等と言われる一方でいまだに「聖人」のようなふるまいを求められたりと…何と言うかダブルスタンダードな基準を要求されているように感じています。そういう歪が特に一人でやっているような我々開業医（医科の先生方も含めてでしょうか）では、ダイレクトに院長へかかって参ります。

以前は「店長を出せ」でしたけれども、最近では「院長を出せ」の時代です。

医師が専門の勉強だけを出来て、そしてその知識や技術を求めて患者が来て感謝して頂く。勿論、今でもあるとは思いますが、世知辛い世の中ですので一方でクレーム等の問題から身を守らなくてはやっていけない時代となっております。

私も以前から医療安全の観点からクレーム処理の本をいくつか読んで参りましたが、この本はそのエッセンスを医療職、特に開業医に向けてセレクトしてある非常に素晴らしい本であると思います。先生方のお読みになっておられる論文や医学書に比べると薄い本でございます。是非、一冊お読みになって下さい。もし患者からの言葉で心を痛めて、これまでの努力がアホらしく感じたり、嫌になっておられるような先生方がおられたら是非手にとって下さい。戦略的な対応を身に付けることは真正面から受け止めるよりもストレスを回避できます。それより何より読み物として、こんなことが他の医院や病院でも日々起こっているんだ私だけではないのだと心が楽になると思われます。