ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか -あるITリーダーの冒険 の感想

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参照データ

タイトルビジネスリーダーにITがマネジメントできるか -あるITリーダーの冒険
発売日販売日未定
製作者Robert D. Austin
販売元日経BP社
JANコード9784822262433
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

文系出身のビジネスマンがCIO(IT責任者)になった時、どのように判断し、どう行動すればいいかを教えてくれる本です。著者はハーバードビジネススクールの教授、企業経営者、コンサルタントとしてITマネジメントの体系化に取り組んできた研究者達です。

本書の特徴は3つあります。1.CIOが直面する主要な課題のケースを扱っている。2.起こりうる問題の「正解」を示さず、読者が自ら考えるように仕向けている。3.小説仕立てになっていることによって状況や課題が理解しやすい。この3つの工夫によって570ページのボリュームにも関わらず、読み通すことができました。逆に、これが教科書的な記述であれば、総ページの半分も読めずに終わったことでしょう。

この小説は全体が18章から成り立っています。CEOの交代によってジム・バートンは突然にローン事業部長からCIOに任命されます。しかし、彼は就任直後から次々に起こる問題やリスクへの対応を迫られおおいに困惑するのでした。彼が課題にどのように取り組み、解決していくかが本題です。
本書で扱われるITマネジメントの分野のケースは次の7つです。1.コミュニケーション、2.人材マネジメント、3.コストと価値に関するITアカウンティング、4.プロジェクトマネジメント/インプリメント、5.ベンダーマネジメント、6.インフラストラクチャーマネジメント、7.成長技術の探索と分析。いずれのケースもビジネススクールで扱われている教材を基に作られているので現実に起こりそうなものばかりです。各ケースの課題に対する「正解」は書かれていませんが、「考えるべきポイント」については解説されています。

読み終わって印象に残ったのは、「ITマネジメントは試行錯誤の積み重ねであり、正解というものはない。しかし、良く考えられた判断、注意深く組み立てられた行動の妥当性というものはある。経験を重ねる中で極めて良い結果が得られる」とのメッセージでした。文系のみならず理系出身のITリーダーにとっても役立つ書であろうと私は思いました。

20年以上、ユーザー企業のIT部門で仕事をしていました。在籍していた当時は、自分には専門的な利用技術があると自負していましたが、コンサルタントの仕事に転職してみると、いかに「井の中の蛙」だったことを痛感しました。
せっかく、ユーザー企業にいたのにもかかわらず、そもそもの会社のビジネスモデルさえ、十分理解できていなかったのです。これでは、「IT部門は業務を知らないからな」と、社内のユーザー部門から陰口を言われても、仕方がありません。
振り返って、IT部門のリーダーはもっともっとビジネスリーダーとしての勉強をする必要があります。本書は、その切っ掛けとなる本だと思いました。
本書以外では、プロフェッショナルCIOの教科書が、より具体的に勉強すべきことや実務での活用方法を、日本の現状にそって解説してありますので、お勧めできます。

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