夜明けの辻 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 夜明けの辻 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 山本 周五郎 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101134529 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 |
購入者の感想
初期の中編となる「夜明けの辻」(昭和15年)が力作。同じ時期の長編「明和絵暦」と同じ題材を取りながら、こちらは二人の若い武士の友情を描いてさわやかに仕上がっている。「嫁取り二代記」(昭和12年)は、頑固一徹の伯父がその甥の嫁となる娘を預かる話で、なかなか楽しい。周五郎自身も気に入っていたと見えて、後に「明暗嫁問答」(昭和21年、「花匂う」所収)として書き改めている。「御定法」(昭和19年)は、神田の古書店で発見された全集未収録の作品とのこと。いかにも周五郎らしい武士道もの。「葦」(昭和22年)は、一人の武士の半生と川岸の葦とを対比させ、立ち直りながら計算高く生きる生き方を寓話的に描いた作品。後年の「あとのない仮名」にも通じる作品で傑作だと思う。