ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | ミステリーの人間学―英国古典探偵小説を読む (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 廣野 由美子 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004311874 |
カテゴリ | 文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » 英米文学 |
購入者の感想
推理小説は中学生時代から夢中になって読んでいました。英米推理小説群の中で「アクロイド殺し」は、読後にショックで頭が真っ白になったことを今でも思い出しますが、その「アクロイド殺し」はトリックの斬新さだけではなく、人間性の探求として読める点、ホームズ物にある語り手の定型に縛られていないこと、こういう指摘はとても納得がいきます。主に5名の作家と22作品が、紹介・分析されています。既読作品はもちろん、未読のものであっても、著者の簡潔な紹介文と読みどころの提示で、本編を読みたくなります。著者の分析力と感性、読みやすい文章、全体の筋道に収れんさせていく膂力には、尊敬の念が起きます。私は今後、途中で読書放棄してしまっていたディケンズの長編作品も、人間性+ミステリーの視点で読み進められそうな予感がしました。