アイデンティティ/他者性 (思考のフロンティア) の感想
参照データ
タイトル | アイデンティティ/他者性 (思考のフロンティア) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 細見 和之 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784000264211 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 文学史 |
購入者の感想
こういうアプローチもあるだろう。プリーモ・レーヴィ、パウル・ツェラン、金時鐘という三人の詩人を巡り、彼らの言語文化的アイデンティティがどのような歴史的背景を持っているかを明らかにしつつ、所謂収奪された過去を持つ個人の錯綜したアイデンティティに光を当てる。3名を横に並べて同一線上で論ずるのは必ずしも適切ではないかもしれないが、最後の金時鐘の例などは、なかなかに興味深い。しかし、アイデンティティとは、関係性を基礎に、相互に作用するもので、必ずしもマジョリティがマイノリティに付与するものとは限らないと思う。話が煮詰まってない感じだが、このシリーズ共通の基本文献案内が巻末についており、この問題に入るとっかかりとしてはかなり参考になる書物と思う。