保育とは何か (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトル保育とは何か (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者近藤 幹生
販売元岩波書店
JANコード9784004315094
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

 本書の読みどころは第3章「保育実践の輝き」だと思います。著者が繰り返し訪問したという、いくつかの保育園や幼稚園の特色が紹介されています。一つ一つの保育園、幼稚園が本当に特色をもっていて、日本の保育園等の現場がいかに豊かな地域的、歴史的特色をもって成立しているかということがよく分かります。紹介されている幼稚園の一つについて、『せんせいがうまれたときかいじゅういた?』(村田道子著)という書籍が紹介されていますが、是非読んでみたいとさえ思いました。

 著者は他の章において、現在の保育制度や関連法規を解説したり、著者自身の子ども時代と現代の子どもたちの成育環境を比較したり、著者が父親として苦悩した経験についてさえをも語っています。これらに関心を持つ方も数多くいらっしゃるだろうと思います。

 読み終えて、自分なら『保育とは何か』という題を与えられて本書に何を加筆するだろうかと考えてみました。著者が本書で行ったような保育にかける願いとか祈りのような記述に加えて、自分なら保育の重要性を中でも政策決定者に対して説得力ある形で論述しようと努力するのではないかと思います。

 つまり、保育をめぐる資源配分状況が不十分であることを描写した後に、保育への予算配分がいかに他の政策(例えば大学という名に値しないような大学が仮にあるとして、それに対する予算配分)より優先されるべきかを、幼児教育の重要性を示す近年の心理学の知見(マシュマロ実験とかGrit等)を引用したり、米国でオバマ大統領や州知事が躍起になってプリ・スクールへの予算配分増大に努力していることを紹介したり、人材しか資源がない日本において脳が目覚しく発達する幼児期に最も良い環境を整備することが(ずっと後の成年に対する投資と比較して)いかに重要で費用対効果に優れているかを述べ、これは幼児当人のみならず国益にも適うとの趣旨を論述するだろうと考えました。

 この議論は間違っているかもしれませんが、そのような拙い思考が触発されただけでも、読んだ甲斐があると言えると思います。他の皆様なら、より良い考えが浮かぶのではないでしょうか。お勧めです。

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