その日の後刻に の感想

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参照データ

タイトルその日の後刻に
発売日販売日未定
製作者グレイス・ペイリー
販売元文藝春秋
JANコード9784163907031
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学

購入者の感想

村上春樹による、グレイスペイリーの3作目の翻訳本にして、最後の作品です。

2作目(2005年)から長い年月が経ち、ファンからすれば、待ちに待った今作。

17編の短編とインタビュー、1つの短いエッセイで構成され、3作目の表紙も変わらず、素晴らしい画家 エドワードホッパーの作品です。
(タイトル:Room in New York 1932年作)

彼女の文体はゴツゴツしていて、スッと入ってくる類いではなく、噛めば噛むほど味が出るようなものです。

その持ち味であるスタイルに対して好き嫌いが別れます。

それが長編ではなく、短編だからこそより良いものだったと思います(長編だと読むのも骨が折れそうです)。

一見、読者の入り込む隙間がないような
物語がカルト的な人気になった理由は何故だろう?

政治活動家、フェミニストの作家という肩書きが理由なのか、生涯において3作しか作品を残さなかった希少性を神格化したからなのか、それはよくわからない。

そればかりか、彼女の文学作品は読者にあまり訴えてこない(偏った意見ですが)。

多くの小説は作品から伝えたいメッセージなどを受けとる。所謂、作品が能動の形をとり、読者が受動の形だと思う(短編小説にはそこまでの含みはないかもしれないが)。

しかし、彼女の小説は受動的であり、読み手から歩み寄ることが必要だ。

文章からは読者に何か話の核を残してあげようという思い遣りはあまり感じられない。

ペイリーさんに
私は考えを与えるのではなく、
あなたが自分で考えてみてちょうだいと
言われているみたいだ。

そして、考えてみた結果、
何にも出てこない場合もある。

ありきたりの日々を、彼女の独自の視点で切り取っている。
そこに価値を見出すのは読者、各々だ。

話の印象は、ハッピーな話というより、登場人物の心の真ん中に、ポツリと小さな穴が開いている人の話ばかり。

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