同性愛と異性愛 (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトル同性愛と異性愛 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者風間 孝
販売元岩波書店
JANコード9784004312352
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会一般

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同性愛者が被ってきた受難の歴史と、現在の課題を提示する。著者はともに同性愛者である学者。淡々と書かれているが、重要な論点を明示。例えば、「ホモセクシュアル」「ゲイ」「レズ」などの用語はきわめて新しく作られたもので、その命名そのものが、同性愛者への差別との戦いの中で創られた(p38f)。ゲイは男性同士の対等な関係だが、日本の「男色」は成人男性と年少男性との上下関係があった(95、古代ギリシアの少年愛も然り)。女性同性愛は、存在そのものが歴史の中で隠されていた等々。同性愛は、かつては(イスラム教では現在も)神の創った自然に反する「悪」として犯罪と同じ「処罰の対象」であったが、19世紀後半からは「病理」「変態性欲」として伝染病のような「予防・治療の対象」とされた(100)。しかし、どちらも異性愛こそが「自然」であり、同性愛は「不自然」だという規定である。そこで、「犯罪」→「病理」→「脱病理」の試みとして20世紀末に登場したのが「性的指向sexual orientation」という指導概念である。「性的指向」とは、欲望を向ける相手の差異として、「異性愛」「同性愛」「両性愛」の三者を対等に扱うものだ。「性的嗜好sexual preference」が自由な選択を許すのに対して、「性的指向」は自分に選ぶ自由がない点が異なる。だが、これで問題が解決したわけではない。例えば、「性同一性障害」は手術による性転換という「治療」が可能な「病理」だから、一般社会の理解も得やすいが(164)、同性愛は同様にはいかない。同性を愛してしまう自分に気づいた同性愛者は、自分の体を反対の性に換えなければならないのではないかと悩むことが少なくないという(169)。「セックス/ジェンダー/性的指向/性自認」という根本概念の意義と問題を論じる第5章は、難問と格闘している。

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